『おれのおばさん』

佐川光晴さんの作品。

父親の横領によって一家が離散した陽介は、恵子おばさんの運営する児童養護施設に行くこととなった。


陽介は転校しても朝からNHK英語講座を勉強していて、すごいと感じた。

恵子おばさんによるパンケーキ大食い大会が、とても楽しそうだと感じた。

陽介が父親のことを恨めないと言った場面が印象に残っている。

陽介が波子と林芙美子記念館でデートしたのが、面白いと思った。


印象に残っている文

育ち盛りの中学生たちの眠りはマリアナ海溝よりも深く、頭ではわかっていてもそう簡単に目が覚めてはくれないのだ。

児童虐待、養育放棄、両親との死別、レイプ等の望まない妊娠による誕生。児童養護施設に保護されるきっかけはおおよそ四つに分けられる。孤児は少なく、両親もしくは片親がいる者のほうがずっと多い。

我慢、忍耐、辛抱。相撲部屋の標語のような単語が頭に浮かび、おれは首をかしげた。親とは、子供を育てるためにひたすら耐える存在でしかないのだろうか。

「野月のせいにするわけじゃないけど、ひとの心配をするのが性に合わないってことがつくづくわかったからね。この六年、それなりにがんばってきたつもりだけど、どこかで自分にうそをついてる気がしてたんだ」


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