『向かい風で飛べ!』
乾ルカさんの作品。
スキージャンプをしている理子とさつきの物語。
読み始めてさつきが主人公だと思っていたが、読み終えると理子が主人公ではないかと感じた。
体重や体型が変化するだけで、記録に大きな影響を与えてしまうということがわかった。
さつきが、「ワンピース」を漫画のワンピースと勘違いする場面が面白かった。
理子が体重の変化に苦しむ場面は読むのが辛かった。
さつきの両親と理子の母親が、とても良い人たちで良かった。
印象に残っている文
積極的に仲間はずれにされているのではないことくらいは、わかる。クラスメイトに悪意はない。彼らは今までの日常をそのまま継続しているのだ。
「BMIルールっていって、ジャンプのスキー板は、選手の身長と体重に応じて、使える板の長さが決まるの」
にこやかに笑っていた永井コーチの顔が、そのとき急に、きちんと整えられたトランプみたいに真面目になった。
「向かい風は、大きく飛ぶためのチャンスなんだよ」
「船は港にいるとき最も安全であるが、それは船が作られた目的ではないーーってやつだ」
「不思議ね。親って子どもが元気に明るく笑ってくれているだけで、どうして嬉しいのかしら」