『月曜日の抹茶カフェ』

青山美智子さんの作品。

東京と京都で抹茶カフェに関わる12名の物語。


定休日にだけ抹茶カフェが開かれると知って、そういうカフェに行ってみたいと思った。

実篤くんがいつもバケツを鞄の代わりにしているのが面白いと感じた。

最後の一文が素敵で、二人とも幸せになってほしいと感じた。


印象に残っている文

「人でも物でも、一度でも出会ったらご縁があったってことだ。縁っていうのはさ、種みたいなもんなんだよ。小さくても地味でも、育っていくとあでやかな花が咲いたりうまい実がなったりするんだ。種のときは想像もつかないような」

「いいねぇ。知ってる? “ノリの良さと運の良さは比例する”」「誰の格言ですか、それ」「俺」

「思い出って、流れ流れゆく時間を留めておくピンのようなものかもしれませんね。だけど留まる場所は人それぞれだから、ピンの位置がちょっとずれちゃったりもするんですよ」

「自分が一番大事だって感じることをちゃんと大事にできたんだから、それでいいんだよ。佐知は、思ったようにしていい。これからもずっと」

本を読んでいるときのニンゲンの姿って、好きだなって思う。美しいって思う。確かにそこにいるのに、どこかを旅しているのがわかる。体は止まっているのに、何かが動き出しているのが伝わる。

がんばろうとすればするほど、どんどんわからなくなる。どうすればよかったのかわからない恋愛、どう組み合わせればいいのかわからないファッション、どう話せばウケるのかわからないネタ。

いつもは剥き出しになってしまう照れくささが、手触りのいい綿でくるまれているみたいだった。

互いの笑顔にタップされて、僕たちのアップデートも今、始まったみたいだ。

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