『サクラ咲く』

辻村深月さんの作品。以下の3つの話が収録されている。

約束の場所、約束の時間

サクラ咲く

世界で一番美しい宝石


「約束の場所、約束の時間」での朋彦の最後の走りを生で観たら、とても興奮するだろうと思った。

「サクラ咲く」では、なぜ不登校の生徒の家に行く描写があるのだろうと思っていた。そしたら、話の終わりにその意味がわかった。

「世界で一番美しい宝石」は、勉強や運動ができるといった目立つものがある生徒に対して、そうでない生徒にも青春はあるんだということを教えてくれた作品だ。

3つの話が繋がっていることがわかって、鳥肌が立った。


印象に残っている文

仕事が嫌なのではなくて、こうやって流されてしまうのが嫌なのだと告げようとするが、大勢の人を前にしたら、どう言えばいいのかわからなくなった。

大人は「勉強しなさい」「本を読みなさい」と口では言いながら、恒河や琴穂のように外でみんなと遊ぶ子を見て本当はほっとしてるんじゃないかな、と少し悲しい気分になる。

「映画?」透明感のある、器いっぱいに張った水を連想させるような声だった。

「ともかくさ、学校って、そういう晴れがましい大舞台だけがすべてじゃないと思うわけ。書道部だって英語部だってそれぞれの活動はしているわけで、そういう、応援団が横で応援してくれるような青春じゃなくても別にいいんじゃないかなって思うんだ。学校は何も、一部のわかりやすく青春を謳歌してるヤツらだけのもんじゃないってことを証明したいっていうか……」

ものづくりが徒労に終わるかもしれないなんて、決めるのは結局誰かの主観でしかない。何が無駄かなんてことを決めるのも、人それぞれだ。

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