『恋とそれとあと全部』

住野よるさんの作品。

寮に住む高校生であるサブレとめえめえの物語。自死で亡くなったサブレの叔父の家族に2人で話を聞きに行く。


タナトフォビアというものを初めて知った。自分が死を初めて意識したのはいつ頃だっただろうか。

サブレとめえめえの会話のテンポがとても良かった。この二人はなんとなく付き合わないだろうなと予想していた。

めえめえとエビナ、ハンライの会話は男子高校生でよくありそうな内容だと感じた。


印象に残っている文

この定食じゃんけん、勝者は三つしかない日替わりメニューのうち一つを優先的に選び、残った二つのどちらかを相手に強制的に押しつけることが出来る。誰も得をしないし、よく考えたら何が目的かも分からない。なのに暇で仕方ない下宿生が集まると、たまに開催される。

「たくさんの色に見える場所で生まれた子どもは大変だな。絵で描く時めちゃくちゃ色使わなくちゃいけなくて」「それはそれで楽しいんじゃない?」「絵が好きだったらいいけど、嫌いだったら、虹は綺麗とかじゃなくて、めちゃくちゃしんどいもんって思いそう。何色でも虹なんだって最初からみんなに教えてほしいよな」

「昨日の兄ちゃんもそうだけどさ、中学生とか高校生になんか託そうとする人いるな」「あー」サブレは、うんうんと頷く。「そうだね、大人のそういうの、私はちょっと気持ち悪い」

「私がこの年になって改めて感じることだが、死はどこにでもあるというのに、本質的には理解のしようがない。考えつくすのはいいことだ。しかし、ひっぱられすぎないよう、どこかで線引きをする注意も必要だぞ」

下宿の話が終わったところで、空気に包丁が入ったみたいにスッと会話の途切れた瞬間があった。

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