『私の男』 


桜庭一樹さんの作品。

義父と娘の関係について書かれている。


義父が登場したときから、「この人はまともな人なのか?」という違和感を覚えた。

徐々に過去へさかのぼっていく展開がすごいと思った。

読んでいる間、どろどろしたものが喉にへばりついているような感覚がした。


印象に残っている文

父には、男のくせに意欲が足りないなどと説教されるけれど、意欲なんてものはありすぎても、なさすぎても生きるのに不便なだけだろうと思う。

「津波テンデンコ、なんて、家族の絆を知らんものの言うことだ。一緒におったのにばらばらに流されて、わたしの気持ちが、誰にわかるか。誰にわかるか」

「死に別れても、だから、それは別れじゃないんだ。自分のからだに血が流れてる限り、人は、家族とはぜったいに別れない」

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