『忍者に結婚は難しい』
横関大さんの作品。
伊賀忍者の夫と甲賀忍者の妻がお互いに忍者とは気づかず結婚し、夫婦として暮らしていく話。
「Mr.アンドMrs.スミス」の忍者バージョン。
お互いに指令がある日は上手く用事を作って、外出しているところがリアルだと感じた。
忍者が実は家の近くの郵便局で働いていたら、絶対に気づかないと思う。
横関さんの作品は、自分が思い描いていた結末を良い意味で裏切ってくれるので、読んでいてとても楽しい。
印象に残っている文
悟郎の場合、忍者という言葉が意味している通り、家でも忍ばなければならないのである。まったく忍者も楽ではない。
まったく一般人というのはある意味忍者よりも怖い。寝ている人間に直接触るなど、忍者の世界では考えられない。もし似たような任務を与えられたら、絶対に起きないように睡眠薬を飲ませるなど、より確実な方法を選ぶだろう。
「上司からのパワハラならまだしも、部下からのハラスメントを受ける時代になっちまったんだな」
元の生活に戻る。それは魅力的な提案だったが、一つだけ欠けているものがあった。蛍だ。彼女なくして元の生活というのは有り得ないのだ。飲んで帰宅したとき、ベッドで眠っている蛍。朝、パンとサラダを用意してくれる蛍。彼女なくして元の生活というのは語れない。
ヘリコプターというのは上昇するために、下に風を吹き下ろす仕組みになっている。そのときに生みだされる風のことをダウンウォッシュという。