『僕の母がルーズソックスを』
朝倉宏景さんの作品。
高校生の潤平は、自分の母親のことを芽衣子さんと読んでいる。
ある日、芽衣子さんの様子がおかしくなった。なんと、体はそのままだが記憶は17歳当時のものしか持ち合わせていない状態に!
帆乃夏がフライドポテトを潤平の鼻に突っ込むシーンが、とても面白かった。
カラーギャングというシステムを知らなかったので、勉強になった。
芽衣子さんが高校の制服で潤平の学校に来た場面は、潤平の気持ちに同情した。
修一がグラフィティについて語る場面が印象に残っている。
潤平という名前の由来に納得した。
印象に残っている文
「ものわかりのいい母親と、反抗期の息子のエチュードだった」
「子どもって、親の愛情をしっかり受けないと、正しく育たないって言うじゃない? でも、洪水みたいに、あふれんばかりの愛情を受けすぎると、窒息状態になって、それもまた問題なのかなぁって」
「記憶を戻すには、慎重に、さらなる負担がかからないようにしなければなりません。砂の山にトンネルを掘る作業を想像してみてください。丁寧に掘り進めて、周囲をかためていかないと、トンネルが開通する前に、山はあっけなく内側から崩壊してしまうでしょう。また、治療の過程で間違った記憶が捏造されないともかぎりません。細心の注意が必要です。人の記憶というのは、我々が考えているよりも、あやふやなものなんです」
「ギャルの格好は武装なんだよ。大人にいいようにされないためのーー弱みにつけこまれないための武装なの。戦国武将が派手なヨロイを身にまとう、みたいな」