『女子芸人』

神田茜さんの作品。神田さんの作品は初めて読む。

仕事の続かない琴音は、素人向けの漫談教室に通って漫談家の平の凡に弟子入りした。


青山公平さんの結婚式の場面が、笑ってはいけないと思うが面白かった。

正しいアクセントがどっちかわからなくなる場面が、印象に残っている。

船の上でお家騒動を起こす様子を見て、その場にいたらどんな顔をすればいいのかわからないと感じた。


印象に残っている文

決められたことを繰り返し喋るよりは、結婚式の司会のほうがはるかに勉強になる。たったひとりで披露宴を仕切るのだ。

ウケたときの快感と、ウケなかったときの自己嫌悪。その振幅の大きい感情のゆれを、毎日のように感じなくてはならないのが芸人というものだ。

「甘えてばっかりいるやつって、最初はかわいいんだけど、だんだんうっとうしくなるんだよね」

司会者は主役ではない。主役の引き立て役でしかない。そうはわかっていても、初めての葬儀の視界を終えたあとには、誰かにねぎらってもらいたい。誰でもいいから、がんばったねと言ってもらいたい、そんな子供じみたことを思っていた。

漫才コンビには、一見、仲が悪いのかと思うコンビも多い。でもそれは、あえて趣味や友人はまったく違ったところに持ち、お互いの領分には触れないようにしているかららしい。

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