『新選組颯爽録』

門井慶喜さんの作品。

馬術師範、芹沢鴨の暗殺、密偵の天才、よわむし歳三、新選組の事務官、ざんこく総司の6つの話が収録されている。


芹沢鴨が小虎に対して要求したことに驚いた。土方はどう思ったのか気になった。

土方歳三は腕力があまりないというのが意外だった。

新選組に文吏という役割があることを知らなかった。

山南敬助と沖田総司の会話、山南敬助の切腹の場面が印象に残っている。


印象に残っている文

馬というのは人間が綱をひいてやれば階段はかんたんにのぼれるのだが、下へおろすのは不可能にちかい。

休息所というのは幹部のみに認められる自宅ないし妾宅だが、近藤の場合、なかば役宅も兼ねている。

沖田はいつもこうだった。近藤と土方というしばしば対立しがちなふたりのあいだに割って入り、たくみに微風をふきこんでしまう。そうして問題そのものを何となく解決へと向かわせてしまう。もしも沖田総司というこの無邪気な若者がいなかったら、近藤と土方の関係はもっと殺伐とした、ぎすぎすしたもので終わっていたか、もしくはいずれ斬りあっていたかにちがいなかった。

土方の才能は裏方の才能だった。沖田総司とはまたちがった意味で、天下国家など眼中にない男だった。

なぜなら新選組では、隊士のひとり歩きは禁じられている。公用だろうが私用だろうが、用心のため、少なくとも二人一組で行動するよう局長・近藤勇がかねてより全隊士にかたく命じていたのだった。

にんべんというのは花街の隠語で、侍と僧侶をさす。

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