『私が作家になった理由』
阿刀田高さんの作品。阿刀田さんが人生を振り返った内容である。
小さい頃に触れた経験というのは、生涯何かしらで関わってくるものだと感じた。
『世界裸体美術全集』というものがあることを、初めて知った。
当時の新宿の帝都名画座の料金は三十円というのを知って、驚いた。
向田邦子さんと同じマンションに住んでいたとは知らなかった。
妻の慶子さんの朗読を聴いてみたいと感じた。
サン・ジョルディの日というのを初めて知った。
印象に残っている文
読書の好きな人は、たいてい幼いときから本が好きである。
正直にうち明けるのだが、私は若いころ、ーー小説家になろうーーと思ったことは一度もなかった。
昔、愛読したものを、しばらくぶりで読んでみると新しい発見があって楽しい。
カメラは持参するが、写真はほとんど写さない。私が利用するのは……求めるのは現場に立って入手する言葉である。言葉で小説に書くのだからポイントとなるスポットでは一番の印象を言葉で頭の中に留めたい。