『空に唄う』

白岩玄さんの作品。

新米の坊主である海生は、通夜で亡くなったはずの碕沢さんの姿を目にする。


碕沢さんが生きている人たちのことを見て、「自分が死んでもみんなの人生は続いていて、寂しくなる」と話す場面がとても印象に残っている。

碕沢さんのことが見えない周りの人に対して、海生が何とかごまかすシーンが面白かった。

坊主というのは様々な家との付き合いが大変そうだと感じた。


印象に残っている文

意外と高いところにあった月はほぼ満月に近かった。まるで太陽になりかわる練習をしているみたいに懸命に光っている。

「なんかさぁ、男の人って仕事に対する考え方がちょっと違うよね」「えっ?」「ほら、なんていうか、一生かけてやれるかどうかみたいなこと考えてるんじゃないの?」

視界が急に女の人の裸だらけになるからだろうか。18禁のアダルトコーナーに入るといつも自分の中の何かが小さくしぼむような気持ちになる。

自分が故人の息子だということもあり、なにかとみんなにかまわれたけど、いろんな人が自分の中に父親を見てくれるのはいいことなのかなと最近は思う。

「程度によるけど、なんでもかんでも人が望むようにするのは自分を守ってるだけだと思うよ」


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