『僕は上手にしゃべれない』


椎野直弥さんの作品。椎野さんの作品は初めて読む。
吃音の主人公のお話。吃音についてなんとなく知っていたが、本を読むと知らないことが多くあった。先入観や誤った知識を持たないように、しっかりと勉強しておきたいと感じた。
古部さんのように周りに理解のある人がいると、本人はかなり助かるだろうと思った。
物語の最後の文章がとても好きである。

印象に残っている文

一人でいるときは、一度だって言葉をつまらすことなくしゃべれる。
ひとり言ならつっかえない。これも吃音の特徴らしかった。それと歌うときもスムーズに出るし、誰かと声をあわせて発声するときもそう。

今の日本で吃音を障害として認めてもらうのは、すごく難しいことだそうだから。

以前調べたときに知ったのだけど、吃音には連発、難発、伸発というものがあり、連発は僕がいつもやるように『あ、あ、あ』と音を繰り返す症状で、難発はさっきのような最初の音が出なくなる症状、そして伸発というのは、『あーりがとう』というように音を伸ばしてしまう症状らしい。

いつか言えたらいいと、そう思う。ある言葉を、いつか言えたらいい。サ行は言いやすいから、きっとつっかえずに言える。古部さんに、いつか言えたらいい。
好きです、と。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?