『100億人のヨリコさん』

似鳥鶏さんの作品。

金欠のため富穣寮に引っ越した小磯は、個性的な寮の仲間と過ごしていくことになる。寮にはヨリコさんという女が出没するという話を聞いて、その後世界を巻き込む大事件に発展する。


銘酒「死体洗い」というのがとても面白かった。絶対まずいと思う。

何でこのメンバーはこの寮に住んでいるのか疑問に思っていたが、その理由を知って悲しくなった。

ラジャ仮説がとても興味深いと思った。大勢の人が共通して見たことがあるというのが、不思議だと感じた。


印象に残っている文

日差しが強く暑い日に蚯蚓がアスファルト上に次々出てきて自滅するこの怪現象は体温調節のために移動しようとして逆に事態を悪化させた結果なのだと言われているが、はっきりしたことはまだ分かっていないらしい。

「我が寮では日本国の伝統を尊重し『寮号』を定めている。災害や飢饉、祥瑞などで改元することは昔の日本では普通のことだったのだぞ」

まあ、この寮はもともとかなりおかしいのだ。ニホンジカとピラルクとガラパゴスゾウガメと。十年以上卵を産み続けている妖怪雌鳥と白猫様がいる。着流しの変人とロリコンのベナン人と謎の母娘がいる。エメラルドグリーンの茸も生えている。何でもいる。

昨夜。歪んでいるためだれが覗き込んでもピカソ風に映る謎鏡で自分の顔を見ながら思い出す。

「オーケー、認めよう。僕は便器から血が流れるのを見た」僕は村上春樹風に呟いた。

「コナン君は甘いんだよね。無邪気な子供を装うより、必死で敬語を使ってみせた方が大人は同情するんだよ」

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