『絶対正義』

秋吉理香子さんの作品。

高校の仲の良い5人グループの中で、どんなときも法やルールに則り行動する範子。範子以外の４人は過去に範子に助けられたことがあるものの、それぞれ複雑な思いを抱いていた。

ここまで徹底して正義を体現できる範子が本当にすごいと感じた。自分の周りに範子のような人がいたら、友達になることはないと思う。

範子の母親は帰ってこない範子を探して、車に轢かれて亡くなったという過去がとても悲しいと感じた。

「Because.」という使い方を初めて知った。

印象に残っている文

どんな招待状も、封を開ければ悪意が香り出す。週末や祝日、連休のど真ん中を潰されること必至。そして出費も避けられない。招待状には、それ自体に毒が含まれているのだ。

女子のグループで、誰かの悪口を言うのは危険である。悪口はそれ自体が裏切り行為であり、よほどのことでなければ言った者が孤立するはめになってしまうことが多いからだ。

「離婚したら財産分与をするだろう？　生活をするうえで使った借金なら、たとえ妻が知らずに勝手に夫がしたものであっても、負の財産分与としてお前にも支払い義務があるんだそうだ」

Becauseは、日本では一般的には「なぜなら〜」という接続詞として認識されている。しかしBecauseにピリオドを打てば、それは「どうしてもだ」と言い切る意味になる。