『天国旅行』
三浦しをんさんの作品。
「心中」を共通のテーマにした短編集である。
森の奥、遺言、初盆の客、君は夜、炎、星くずドライブ、SINKと7つの短編が収められている。
「森の奥」、「初盆の客」、「炎」の3つがとても印象に残っている。
「森の奥」で青木は一体どこへ行ってしまったのか。
このあと明男はどうやって生活していくのか。
明男が死のうと思いながらも死に恐怖するところは、人間誰でもそうではないかと思った。
他人からすると、「どうして」と思えるようなことで、ひとは死を選ぶときもある。苦しみはいつでも、相対的なものではない。
引力とは振りきってはじめて、捕われていたと気づくものらしい。
愛は、対象からの愛や憎しみや無反応を感受して増幅したり消失したりするけれど、恋はいくらでも一人でできる。