『働く女子に明日は来る!』 1 佐平荘具 2024年10月19日 17:25 中澤日菜子さんの作品。ブラックなテレビ局の下請け製作会社に勤める七菜。理不尽で残酷なことが続き、心が折れそうになってしまう。ある日、七菜は仕事で大きなミスをしてしまう。頼子の作るロケ飯をぜひ食べてみたいと思った。特に『洋風鍋焼きスパゲティ』を食べてみたい。原作者というのは立場が弱いというイメージがあったので、意外だった。NG猛者という言葉を初めて知った。頼子は理想の上司だと感じた。すぐに別の撮影場所を見つけてきた李生は、仕事のできる人だと思った。印象に残っている文七菜はこの瞬間が大好きだ。二次元のシナリオが三次元に変わる瞬間。紙に書かれたせりふが、ひとの声と動き、表情によって、生きいきと立ち上がる瞬間。その一瞬いっしゅんを作り上げるために、チーム全員がひとつになる瞬間。ドラマの企画を立て、それが通った時点で、企画者はプロデューサーとしてそのドラマの責任者となる。ドラマや映画において、原作者は絶対的な存在だ。原作者が首を縦に振らない限り、どんな案件も進行しない。よしんば一度は通った企画でも、万が一原作者に機嫌を損ねられたら、すべてひっくり返る可能性すらあり得る。苦労に苦労を重ねて撮ったシーンがまるごと消えるなんて日常茶飯事だ。対して「ガヤ」と呼ばれるその他大勢にも、エキストラ慣れしているひとから今回が初めてというど素人まで、いろいろな人間が交じっている。高いひとで一日拘束して日給七千円、いちばん安いランクだと三千円。だめだ。このままではふたり、世界が終わるまでお辞儀し合うに違いない。「……無理だとか、簡単に言うな。できない理由なんて探しだしても意味がねえ。まず動くんだよ、前だけを見て。やれることをやれ。目の前の仕事に全力で取り組め。そうしているうちにーー動かねえと思ってたもんが動きだしたりするもんなんだ」「スパイスは炒めたほうが香りが立つの。チリだけじゃなく、カレーや麻婆豆腐なんかも炒めてから使うといいわよ」「仕事って時には理不尽で残酷で、こころが折れそうになることってたくさんあるよね。でもね、そんなときこそ『どんな辛いときでも必ず明日は来る』っていう前向きな気持ちが大事なんじゃないかなあ」「……『どんな辛いときでも必ず明日は来る』」「そう。その気持ちを忘れないで。あとは食べること、眠ること、そして少しでも動くこと。この三つができていれば、人間、大概はだいじょうぶ。よく覚えておいて」よかった。拓ちゃんと会える。からだの奥深いところで灯った灯が、瞬く間に全身を明るく照らし上げる。 ダウンロード copy いいなと思ったら応援しよう! チップで応援する #中澤日菜子 #働く女子に明日は来る 1