『珠玉』
彩瀬まるさんの作品。
参考文献に18冊の本が示されていた。彩瀬まるさんが相当勉強してこの本を書いたということが分かる。真珠が視点人物となった物語を初めて読んだ。その会話がとても面白かった。
祖母がかつてのアイドルだったとなると、それが重荷になってしまう。何か失敗したら、「祖母はすごいのに、孫は才能ないのね」と言われる。成功したとしても、「祖母の遺伝のお陰だね」と言われる。周りの人はどうしても色眼鏡で見てしまう。
「一目で頭がおかしくなるくらい、きれいなもの。そういうものをずっと追いかけていきたい。そうじゃなきゃ、なんのために生きてるのかわかんなくなる」
「すごいね、テレビって不思議だね。そこに映ってる人間がなに考えてるか、ぜんぜんわからなくなるものね」
「自分一人の人生なんか、この世のどこにもない」
「美しい誤解と錯覚が降り積もり、こんな人間であって欲しいという大衆の欲望がふくれあがった結果、ただの一人の人間を超えたスターという化け物が誕生するってわけだ」
子どもの頃からそうだ。私は失敗や恥を誰かと分け合うことが出来ない。内側に隠したくなってしまう。
「かわいい服って、かわいい子しか着ちゃいけない感じ、しない?」
「臆病者は、関係性に確信を求める。自分はけっきて捨てられない、という確信をな。しかしそれを求めて内部に手を突っ込んだ途端、関係性は死んでしまう。私がうんざりするほど見てきた、人間の犯しやすい間違いの一つだ」
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