『ペッパーズ・ゴースト』

伊坂幸太郎さんの作品。
飛沫感染によって少し先の未来が見える特殊能力を持つ中学校教師の檀。

ネコジゴハンターの2人が急に、自分たちが小説の中の登場人物だったら?というようなことを語り始めて、とても面白かった。
ビートルズの「ア・デイ・イン・ザ・ライフ」の間奏の部分が記述されていて、とても嬉しかった。
先月に立てこもり事件が起こったので、それを思い浮かべながら読んでいた。
ニーチェの「永劫回帰」についてもっと知りたいと感じた。

印象に残っている文

「何だって?」「逆転された」「あんなに点差があったじゃないか」トラが絶滅寸前としてレッドデータブックに載っている、と知った時も人は同じように嘆くのだろう。あんなにたくさんいたじゃないか。

「想像してみてくれよ。『殺人事件がありました。目撃者が警察に証言しました。それを、犯人がチクリやがったな、と怒っています』この話の中で誰が悪い? 誰が一番恰好悪い? 犯人に決まってる」

つらい境遇の中、まっすぐに生きられる人間は素晴らしい。間違いない。が、それはその人が素晴らしいだけであって、素晴らしくなれない人間が怠けているわけでもない。

「人が、『俺の知り合いの話なんだけど』と始める時は、だいたい二パターンです。一つは、まったくの噂話に信憑性を与えるため。もしくは、自分自身の話を聞いてほしい時です」

苦笑いしか浮かばないブラックユーモアは、ユーモアではありません。「くそつまらない言葉」を大声で発しているだけです。

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