『鹿男あをによし』

万城目学さんの作品。

研究室を追い出されて奈良の女子校に赴任した主人公。

謎の解決あり、恋愛もあり、歴史もありというように、かなり濃い内容である。


教頭のあだ名が、リチャードギアに似ているから「リチャード」というのが面白い。

強豪校の剣道部を次々と撃破していく堀田の姿が爽快だ。

新幹線が出発する前に堀田がとった行動がとても印象に残っている。


印象に残っている文

世の中に「東京の右」なんて場所はない。まったく呆れるほど失礼なやつらである。

「駄目ですよ。部活はとても大事なんです。学校で生徒と一対一で話す機会って、実はありそうに見えてほとんどないものです。だから、部活は生徒とコミュニケーションを取る大切な場なんですよ。」

「教師の仕事というのは、我慢比べです。相手がそれと意識していない我慢比べです。ときには独り相撲になって、ひどく疲れることもあります。ですが、いつ、どういう形になるかはわかりませんが、努力は必ず実を結びます。どうぞ、誠意と熱意を忘れずに生徒たちに接し続けてください」

例えば犬は絶対に「い」と発音できない。前方に向かって突き出た犬の口の骨格では、「い」の発音に必要な唇を左右に引くという動作ができない。

「そうです。人間は文字に残しておかないと、どんなこともいつかは忘れてしまうんです」

「別に怖くなってもいいんだ。それは人間の自然な感情だ。ただ、やる前からあきらめるな。それは相手に負けたんじゃない。自分に負けただけだ」

「いいか、この世に存在する種の中で、排泄と生殖を相手の面前で行うことを恥じらうのは人間だけだ。」

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