『D菩薩峠漫研夏合宿』

藤野千夜さんの作品。藤野さんの作品は初めて読む。

男子校の漫画研究会に所属する小笹は、漫研の夏の合宿に参加する。


「おにいさま」は一体誰だったのか、とても気になった。

バンガローで漫画を読むというのは、中高生にとって非日常的な空間で良さそうだと感じた。

肝試しの場面が印象に残っている。


印象に残っている文

それも、ただやみくもに詰め込んだような百冊ではない。わざわざ山に運ぶものとして、事前に候補をリストアップし、何回も議論を重ね、ふるいにかけ、掬い上げ、決を採り、その結果を巡っては、部員同士のつかみ合いの喧嘩がはじまり、主張の聞き入れられなかったひとりが臍を曲げて、合宿への参加を取りやめるどころか、退部をほのめかしたまま音信不通という残念な事態を招いたくらい、真剣に選んだ作品だった。

さっきまで明らかに困惑していたはずなのに、すぐに何事もなかった顔をできるのは、いかにも都会っ子たちだった。

(これまでの漫画では、鼻の高い方を「く」や「L」のような線で描くのが一般的だったが、萩尾望都はコマによって、鼻梁の逆側に線を引いて見事に鼻を表現した)

そもそもあおい学園の先生は、厳しく教育者然とした人よりは、自分もなにか学問の研究をつづけ、生徒とはフラットな関係でいることを好むタイプが主流だった。

紙の白が、朝の木漏れ日をきれいにはね返している。

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