『旅屋おかえり』
原田マハさんの作品。
旅番組のタレントとして活躍する丘えりか、通称おかえり。
ある日出演する旅番組が不本意な理由で打ち切られてしまう。
落ち込むおかえりだったが、ある日ALSの患者から旅の代行の依頼を頼まれる。
私が旅の代行を人に頼まれたら、どの観光地に行って、どの角度から撮影して、どのような言葉で現地の様子を表現していくのだろうか。私が知り合いに旅の代行を頼んでみるのも、面白いかもしれない。「あの人だったらこんな風に伝えてくれるだろうな」といったことを想像するのが面白い。作中に出てきたALSの女性のように、旅に行きたくても行けない人が世の中にはいると思う。そのような人々にとって、旅屋はとても需要のある仕事だと思う。
印象に残っている文
テレビに映るってことは、見違えるほどきれいに「作って」もらえる、ってことでもある。
「君のその笑顔が、いいんだ。泣いたあと、きょとんとしたあとの笑顔が」
「ま、とにかくよかった。お前が電車の中に忘れたのが、この手紙じゃなくて。こういう人の存在こそが、お前の人生の宝物だぞ」
いつも思う。旅が始まる前夜は、どうしてこんなにわくわくするんだろう。ひょっとすると、このわくわく感こそを味わいたくて、私たちは旅を続けてきたのかもしれない。
旅は、出かけるだけで、すでに意味がある。そう思わねが?
いつもそうなのだが、社長は私の動画を一番ヘンな顔のところで停止するのが特別にうまい。
すてきな人だ。すがすがしく開け放った窓みたいに。真理子さんを通して吹いてくる内子の風は、たまらなくさわやかだ。
叩かれて叩かれて、強く、美しくなる。