『注文の多い美術館』

門井慶喜さんの作品。
作品の真贋が味覚によってわかってしまう美術探偵の神永美有。彼のもとに届く美術品は偉人たちが絡むものばかりで、果たして本物なのか。

榎本武揚やペリー、津田梅子といった歴史上の人物が登場するので楽しかった。
「汽車とアスパラガス」では、騙された相手にうまくやり返すことができて気持ちよかった。
佐々木先生は琴乃と残念な結果になってしまったが、頑張ってほしい。

印象に残っている文

「あまり知られていないんですが、榎本武揚は、じつは日本で最初に隕石に関する論文を書いた科学者のひとりでもあるんです」

洋の東西を問わず、むかしから、彗星ほど恐れられてきたものはない。或る日とつぜん異様なすがたを夜空にあらわすその天体は、疫病の予兆であり、飢饉のまえぶれであり、神の警告にほかならなかった。平安時代の日本人など、そのために改元までしたくらいなのだ。

「だいたい銀っていうのは素材がやわらかく加工が容易で、酸化しやすく、黒ずんだ古色がつけやすい。贋作づくりには格好の素材なんです」

「おもしろいなあ。日本一女性蔑視的な命名の由来をもつ人が、日本一の女子学校をつくっちゃった」

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