『午前0時の身代金』

京橋史織さんの作品。京橋さんの作品は初めて読む。

弁護士事務所に相談に来た女子大生が誘拐されてしまう。犯人からの要求は、クラウドファンディングで10億円の身代金だった。


クラウドファンディングで身代金を集めるというのが、現代的ですごいと感じた。

真相が二重三重の仕掛けとなっていて、最後まで目が離せなかった。

弁護士が主人公というのが面白いと感じた。

若手弁護士の小柳大樹は応援したくなる人物だった。


印象に残っている文

弁護士業務には、作成しなければならない書類が山のようにある。売買や貸借に関する契約書、依頼人の要求を相手に伝えるための通知書、揉め事を話し合いで解決した場合の協議書や合意書、もちほん裁判にも書面が必要だ。逐一文書に残しておくことは、後で揉めた時に証拠にもなるので、外せない作業である。

詐欺罪には、略式起訴による罰金刑がない。

「金を稼ぐ苦労を知らない人間は、懸命に稼ごうとする人間を下劣だとみなす」

「怒る時は二種類ある。自分自身が怒っている時と、相手に愛情があって怒っている時。というか、愛情がなければ、赤の他人を本気で怒ったり、指導したり出来ないんですよ。適当にやり過ごして、評価をバツにしておけば済む話だ。」

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