『賞金稼ぎスリーサム!』

川瀬七緒さんの作品。

麻布署捜査課の刑事だった藪下は、寝たきりの母を介護するため刑事を退職した。

ある日、下町の元ペットショップ店主相原の自宅が火災に遭い、放火犯だと疑われてしまう。

藪下は警察マニアの淳太郎と共に事件の真相を追うことになる。


淳太郎のキャンピングカーで一度生活をしてみたいと感じた。

淳太郎が大川自治会長と呑みに行ったと聞いて、笑ってしまった。

ねじりバネの罠の説明を聞いて、絶対にこの罠にかかりたくないと感じた。


印象に残っている文

「その大嫌いな小豆を、三食死ぬまで食べ続けなければならないとしたらどうです? どれほどいやでもほかに選択肢はない。人が好物を食べている姿を見ながら、自分は毎日大嫌いな小豆を食べなければならないんです。僕は今、幼児でもわかるように説明していますよ」

「でも、最初のひとりは事故物件を承知で入居する必要がありますよね。このハードルを越えられないアパートが東京にはどれだけあるのか」「そのハードルは低い。死人が出た直後の部屋に一定期間住んで、事故物件をチャラにしてまわる商売がある。『ステップ』って呼ばれててな。ワンステップ置いて、資産価値を戻す復元屋だ。たいがいはヤクザとつながってる」

「そう、好奇心という名の病ですよ。女性はバクテリアみたいなものです。構造は極めて単純でさが代謝系は多様。実はこれ、物事の根源ですからね」

「ヤクはやってないよな」「ヤク……偶蹄目の動物ですか」

放火は、保険金目当てや犯罪の証拠隠滅までさまざまな悪意が集結している犯罪だ。

「どんな騒音よりも、耳鳴りがするほどの静寂のほうが怖いですよ。山や森に入ると、なぜかすべての音が止む瞬間があるんです。木のざわめきも風の音も虫の声も川の流れも、全部が消えて完全な無になる。決まってそれは夜に訪れます。わたしの頭のなかだけで起きていることなのか、それとも現実なのか。この答えが出るときが、きっとおかしくなる前兆だと思っています」

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