『ワラグル』


浜口倫太郎さんの作品。浜口さんの作品は設定がとても面白い。
「ワラグル」というタイトルだけからは、お笑い芸人の話だとわからなかった。
お笑い芸人の物語。
ラリーさんによるお笑いについての講義が大変勉強になった。
人を笑わせるということがどれだけ難しいことか、またお笑い芸人がどれだけの努力をしているのか。簡単そうに見えることが一番難しいのかもしれない。
時間軸が同じだと思っていたため、まんまと騙されてしまった。
放送作家がどのような仕事か把握していなかったが、作品を読んだおかげで仕事の内容が少しはわかった。
1ヶ月に6万個の大喜利を考えるという試験がすごいと思った。

印象に残っている文

一心同体と言えるまで二人の息を合わせないと、笑いは決して生まれない。ほんのわずかなテンポやリズムが狂うだけで、客は笑わなくなる。極めて繊細で、困難な芸なのだ。

お笑いコンビは平等ではない。歴然とした優劣がある。それは『ネタを書く方』と『ネタを書かない方』だ。

「大喜利の答えは、ボケだけで成立する面白さが求められる。文字で読んで笑える類いのものだ。一方漫才のボケは、話の本筋に沿ったボケが求められる。だから台本上は面白くても、いざ舞台にかけるとウケないことが多い」

「もう少し例えるなら大喜利は詩で、漫才は小説みたいなものだ。詩のような凝ったフレーズや比喩で小説を書いたら読みにくくて仕方がない。」

「ボケを飛ばすなら設定はベタに。設定を飛ばすならボケはベタにする。これが鉄則だ」

まず素人はネタうんぬん以前に、声が聞き取れない。腹から声が出ていないので、客にまで届かないのだ。

漫才という家は入り口は入りやすく、誰でも気軽に中に入れる。文吾のような一般客はその部屋で楽しむことができる。


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