『悪の芽』
貫井徳郎さんの作品。
罪悪感や黒歴史がテーマの作品。
過去のことを思い出すと、時々自己嫌悪に陥るときがある。
何が起きたのか、一瞬わからなかった。あまりにも非現実的なことが眼前で起きると、人は理解を拒絶するのだ。
学校で大便をするのは、男子生徒にとっては絶対に知られてはならない屈辱だった。
自分の本音を隠して、相手にだけ語らせようとするのは、頭のいい人間が使いそうな卑怯な手である。
心を病めば敗者という認定は、自称勝者が下すものだ。心を病んでも、それは決して人生の敗北ではない。
「犯人の親に責任を問うのは、筋違いではないかと思うからです。未成年者ならともかく、四十過ぎの息子がしたことの責任を被せられても、親としては気の毒でしょう」
力は、手にしていないときには渇望する。しかし実際に巨大な力を手にしてみると、行使にはためらってしまう。