『それでも空は青い』

荻原浩さんの作品。

以下の7つの話が収録されている。

スピードキング

妖精たちの時間

あなたによく似た機械

僕と彼女と牛男のレシピ

君を守るために、

ダブルトラブルギャンブル

人生はパイナップル

「あなたによく似た機械」と「僕と彼女と牛男のレシピ」が特に好きである。「あなたによく似た機械」は近未来に起こりそうな話であった。「僕と彼女と牛男のレシピ」に出てくるカクテルが美味しそうだった。カクテルの意味については知らないことが多かったので、勉強になった。
「君を守るために、」の結末がとても面白かった。
「ダブルトラブルギャンブル」で、双子がセンター試験でお互いに入れ替わって大学入試に受かる場面がとても面白かった。

印象に残っている文

いまでも俺は思う。野球の魅力っていうのは、小さな小さな惑星みたいな丸い塊を、重力に逆らって自分の力で遠くに、あるいは素晴らしいスピードで飛ばせることだ。

スピードキング

子どもの健全な成長は、大人の阻害からいかに上手く、あるいは運良く逃れられるかにかかっている。

スピードキング

三年のエースは顔をひきつらせていた。自分がエースの座を失ったことを、たった一球で理解したのだ。野球とはそういうものだ。一球ですべてがわかってしまう。

スピードキング

「変化球はなし。ストレートだけだよ」

スピードキング

こっちの近況を聞きたがる人間にかぎって、自分語りが多い。たいていは自慢だ。中略 そして、そういう人間は、人の話を聞かない。他人の言葉に、自分を語るための糸口を探しているだけ。同窓会というのは、人生の品評会でもあるのだな。自分の人生に『いいね!』をクリックしてもらうための。

妖精たちの時間

プライドしか守るものがない高校生にとって、なにより恐ろしいのは、傷つくことだ。拒絶を回避することが、事が成就するよりも大切だった。

妖精たちの時間

たぶん絶対、僕の気持ちは伝わっているはずなのだが、彼女は僕のオブラートに、もう一枚オブラートをかぶせてくる。

僕と彼女と牛男のレシピ

僕らが実の親子じゃないことは、一生変えられない。でも、だからどうした。年の離れた友だちでいればいい。一緒に人生を闘って楽しむ仲間であればいい。考えてみれば夫婦だってそうじゃないか。最初は他人。でも、うまくやれば、肉親以上の他人になれる。

僕と彼女と牛男のレシピ

「あのな、奏太、好きなことと、うまくいくことは、別なんだ」

人生はパイナップル


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