『逃げ出せなかった君へ』
安藤祐介さんの作品。
ブラック企業に入社した同期3人組は、上司からのパワハラに遭いながらも仕事を頑張ってい行っていた。ある日、3人は居酒屋で久しぶりにビールを飲む。
ビールをあまりにも美味しそうに飲む3人を見て、そこからやる気を起こした居酒屋の店員の話が印象に残っている。なぜ今は交通整理のアルバイトをしているのか気になったが、犯罪などをしていなくて本当に安心した。
村沢がその後どうなったのか気になっていたので、最後の話に出てきて嬉しかった。
夏野のような人が亡くなってしまうのは、本当に心が痛い。
印象に残っている文
仕事で使う文房具も営業中の交通費も、あらゆるものが社員の自腹で賄われた。経営陣の皆々様方は、社員一人一人のコスト意識を高めるための自己投資だとおっしゃる。
五歳からピアノを習っていたという夏野の演奏技術は相当なものだった。『ドナドナ』をスイングジャズのリズムと音使いで弾くと全然悲しそうに聞こえない、ビートルズの『シー・ラヴズ・ユー』にディープ・パープルの『スモーク・オン・ザ・ウォーター』のリプを重ねると微妙な味わいになる、など、奇抜なアレンジの演奏がたくさんあった。
常人が一生かけても浴びきれないほどの罵詈雑言を、二十分足らずの間に浴びた。
「皆さん、親より早く死んではいけません。万が一、死んでしまいたいような気持ちになった時は、その場所から逃げてください」
仕事の真の目的は、簡潔過ぎるからこそ雑事に埋もれやすい。