『ゆけ、おりょう』
門井慶喜さんの作品。
坂本龍馬の妻、おりょうを中心として物語が進んでいく。
姉の乙女や妻のおりょうのように、坂本龍馬の周りには気の強い女性が多い気がする。
龍馬の危機を救った場面では、おりょうの冷静に判断する力がすごいと感じた。
おりょうが温泉で龍馬の指のことを気にする場面が、印象に残っている。
印象に残っている文
おりょうは酒に目がなかった。土佐者がよく自慢するどんぶり鉢の冷や酒などは水も同然で、ーー一升をすぎたあたりから、ようやく酒の味がする。などと豪語するほどだった。
「たかだか同志たちに死なれ、京の街を焼かれ、仕事に大失敗したくらいで何をぐずぐず、弱音ばっかり。そういう子供っぽい人は、うちがお守りをしてあげます」
土佐弁は、ジとヂ、ズとヅの発音を区別する。当人たちには厳密な区別である。ジ、ズのほうがヂ、ヅよりも摩擦音において強いのだが、全国的にはほとんど見られない。
これはおりょうの感想ではないが、もしも龍馬が二十一世紀のこんにちに生まれていたら、あるいはスマホを片時も身から離さぬSNSの中毒的愛好者になっていたかもしれない。