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KenKen「俺パルーザ」公式グッズ制作秘話

こんにちは、竹内光司です。前回の私の人生初のブログをお読みくださったみなさん、どうもありがとうございました。まだ読んでいないかたは是非読んでみてください。


人生2回目ブログ、はじまりはじまり。

日本にバブル景気が到来する1986年の前年、1985年の12月30日。下北沢にひとりの男の子が誕生しました。父はジョニー吉長、母は金子マリ、兄は金子ノブアキという音楽一家・金子家の次男坊です。彼の名は金子賢輔。のちにKenKenとなり、ベースヒーローとして日本中の人にベースという楽器の魅力を伝える伝道師となります。

物語調にしてみました。特に意味はありません。

今回はの30歳となる誕生日に開催されたイベント「俺パルーザ」で製作したデザインの話をします。

KenKenとの出会いは2003年。私が27歳、彼がまだ17歳でした。それから早いもので12年。ここまでにいろいろなことがありました。それはまた後日書きますね。


俺パルーザ

2015年にZepp Tokyoで開催されたKenKen主催の「俺パルーザ」。KenKenの30歳となる誕生日を盛大に祝うべく開催されました。KenKenが参加しているバンドのLIFE IS GROOVERIZEDragon Ashthe dayそしてゲストで打首獄門同好会ベッド・イン、兄の金子ノブアキと母の金子マリさんとKenKenの金子家という家族にギタリストの山岸竜之介を加えた編成でのライブもありました。バックステージには特設バーもできていて、KenKenは大勢の仲間と魔物のようにお祝いのお酒を飲んでいました。イエーガーとかイエーガーとかイエーガーとか。まさにロックスターの生誕祭☆

私はというと、KenKenの記念すべき30歳に向けてこの年の9月にこんな宣言をしていました。

威勢はいいものの実際には色々とタイミング合わずに担当したのは3点のみでしたが…。(翌年の「俺 “等” パルーザ2016ではたくさん作りました) しかし、それなりに重要なアイテムを担当しました。

担当したアイテムはこちらの3点です。

1)KenKenPHOTO Tシャツ

2)ダイブフォーフリーダムロゴ

3)バックドロップ(ステージ後方にある大きな布のことです)


KenKenPHOTO Tシャツ

KenKenPHOTO Tシャツはこれです。

私が撮影したこちらの写真を全面に使いました。

背面は「JAPANESE BASS SENSATION」とオプティカルアートっぽくデザインしています。背面のデザインが諸事情で小さくなってしまったのが残念ですが、KenKenも言うように表面が白黒のタイダイTシャツぽく見えるところがよいです。

ちなみに制作中のイメージです。

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いつか、背面も全面プリントで作り直したいですね。


ダイブフォーフリーダムステッカー

ダイブをするとステッカーがもらえるという画期的なシステムです。

最初は「ダイブした人がもらえる特別なもの」を何か考えようとKenKenと話していました。こちらのKenKen名言にあるように、普段何かと抑え付けられてしまうものを今日は称えてあげよう的な。

最初は飴とか簡単なカードにしようとKenKenは思っていたみたいなのですが、どうせならしっかり作っちゃおうと思ってしまう永久欲求不満の私。歪んだプロ意識。病気かな。

とは言っても、時間もないので、最初はこんなかんじでフリー素材でサクッと作ってみたんです。

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レオナルド・ダ・ヴィンチウィトルウィウス的人体図がダイブしている人に見えたのでつい…(笑)。ダイバーに宇宙真理を見ました。でも、俺パルーザにはちょっとアカデミックすぎない?ということになりました。そりゃそうですね。

落ち着いて再考して、お守り的な意味合い(怪我しないように)も込め「お札」がいいのではないか?と思いました。霊幻道士のお札みたいなやつです。

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そうすると、KenKenから「お札といえばこれもいいよね」と提案されたのがこちら

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「大魔王封じ」


「あああああ・・・・」

「これだーーーーー・・・・・!!!!!」


KenKenの発想はいつも神懸かっているというか魔懸かっているのですが、今回も例に漏れずです。さすがです。そして、この時点で私は「封じ」「フリーダム」にしか見えなくなっていました。

「封じ」が「フリーダム」にできるのは脳内で確信できたとして、「大魔王」をどのようにできるのかを検証します。

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うん。できそうですね。というか、あっさりとほぼできました。しかし、まだちょっと無理矢理感がある。納得できる許容範囲をもう少し拡張したい。

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「ダ」と「イ」、「ダム」も見直しました。その他全体的に微調整を施し、これでいい気がします。イベントタイトル等を配置し、できました!
これはいい記念になります。

これがダイブフォーフリーダムの世界です!

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ダイバーに幸あれ!


ちなみに、、、

こちら、昨年に大阪と東京で開催されたドラゴンボールカフェのメニューにあった画像なのですが、

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あれ…? これは、私がデザインしたダイブフォーフリーダムのお札なんd



バックドロップ

ステージ後方に釣り上げられている幕のことです。これが、すごく大変でした。まずサイズが「500x833cm」です。縦5mの横8m。でかい。ちなみにこちらのプールが同じくらいのサイズ感です。

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そして、今回は単なるバックドロップではなく、

公演後にショートパンツにリユースされる

という超高難易度な条件があります。ショートパンツにした際にKenKenのグッズと判るものにしないといけないということです。ということは、ショートパンツが単なる無地パンツとなってしまわないように、バックドロップにも無地のエリアを作ってはいけないということになります。

「無地のスペースがないなんて、不可能なのでは……?」

と一瞬思いましたが、「なんとかする/なんとかなる」が座右の銘の私。すぐに回避策を思いつきました。

その回避策とは、私が得意とする総柄パターン系デザインです。それならいけるな、と。KenKenの魔ロゴの総柄で点描やモザイクのような表現をすれば、絵や文字の表現とショートパンツ化のための条件とを同時に達成できるのではないかと思いました。ジョルジュ・スーラの点描技法的なやつです。

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ちなみにKenKenの漢字の魔のようなロゴ(通称:魔ロゴ)は私が作りました。
よく見るとKENKENで構成されています。これに関してはそのうち記事にします。

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話を戻します。早速魔ロゴ総柄をやってみます。

方法を簡単に説明すると、モザイク化した画像のモザイクひとつひとつに魔ロゴが窓となっている白いパーツを被せれば、下の画像の色が魔ロゴとなるので、魔ロゴの色をいちいち変更せずとも魔ロゴの総柄パターンが完成できるはずです。つまり、Photoshopでモザイク画像を作成し、Illustratorで魔ロゴのカバーを被せれば効率的にデザインできると。。。説明難しい。

わかりにくいので図

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こういう。。。魔ロゴの窓から下のモザイクの色が見える=魔ロゴが下のモザイクの色となる、と。ややこしいですが。。。この上なく力技ですが。。。この日ほどエンジニア的にプログラムでこの問題を解決したかった日はありません。参照画像の色を羅列した魔ロゴ群に着色するプログラムが書きたかった私です。


総柄パターンの方向性をどうするか決めます。
**
A)水平垂直パターン(碁盤の目みたいなパターンの方向性)

B)45°パターン(LO○IS VUITTO○みたいなパターンの方向性)**

A

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B

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BのほうがオシャレなのでBにしましょう。ナナメは大切。


次に、魔ロゴ総柄パターンの柄の細かさを決めます。後の作業のことも考え、どのくらいの細かさが最適なのか探ります。

元となる画像ですが、2015年の中津川ソーラー武道館で私が撮影バックステージの写真でちょうど良さそうなのがあったのでそれを使います。広げた手も横位置のバックドロップに合いそうです。

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こちらの画像をモザイク状に加工して検証します。

モザイク小

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細かくていいのですが、後の作業のことを考えると細かすぎるのは回避したい気持ち…。このドット全てが魔ロゴになるとか想像しよう卒倒しそう(韻踏み)。


モザイク中

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KenKenとわかるし、このくらいでいいのではないかと。


モザイク大

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ここまで大きいとKenKenと認識できない気が。長い黒髪とハットでどんなものでもKenKenぽく見えてしまうのがKenKenのすごいところではありますが(笑)。

ということで、モザイク中で詰めていきます。「モザイク中」の画像の背景を消去し、構図を整え、魔ロゴが窓となっているカバーをドットと同じ大きさに揃え全面に配置してみます。下がモザイク画像で上に魔ロゴカバーが乗っている状態です。

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アウトライン表示してみるとこういう。

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拡大してみましょう。

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地獄…いや、魔界かな。。

無地部分があってはいけないので、背景を考えます。

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こんなのとか、

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こんなのとか。

体が要らないんじゃないか?説が出たので消してみます。

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良さそうだけど、怖いですね。背景も怖い。
もっとポップにしましょう。

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まあ怖いですが、サイケデリックでいい感じな気はします。

俺パルの日付(KenKenの誕生日)とKenKenを入れてみます。

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黒いと重たいですよね。サイケデリック感を邪魔するので他の色にしましょう。

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うん、よさげです。遠くからは文字が認識できるけど、近くだとよく見えないかんじも悪くない。

よし、これで完成!!!!!お疲れさまでした!!!!!



このタイミングで大事件が起こりました。



なんとか入稿し、安堵していた矢先に担当の方からこんなメールが届きました。

いただいたデータを使用して昨日、工場で1日かけて検証したのですが、やはりどうしても染色する機械の演算(データ処理)が追いつかず、染色自体が物理的に無理な状況でございます。すべてイラストレーターで制作されたデータ※「魔」の文字一つ一つにCMYKで色をつけていただいたデータをご入稿いただき(12/13(日)中)、お時間を考慮いたしますと、ひとつひとつの色について、詳細な色合わせ(DICカラーやPANTONEカラー、また版下等での色合わせ)が行えませんことをご了承ください。上記の内容につきまして、ご検討いただきご連絡くださいますと幸いです。どうぞよろしくお願い申し上げます。

まさかの私が作成したデータが機械の処理能力の限界を超えてしまったということでした。マジかよ。

ここに来て手作業で全ての魔ロゴに着色しないといけないという、全てを吹き飛ばす核爆弾のようなミッションが降って来ました。死を意味します。ここまで来たら効率も何もありません。ただひたすらに羅列する2700個弱の魔ロゴひとつひとつに色をつける作業を地道にやる以外に方法がないのです。

完全に新世紀エヴァンゲリオンのこのシーンです。

「目標をセンターに入れてスイッチ、目標をセンターに入れてスイッチ、目標をセンターに入れてスイッチ…」

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この爆弾ミッションが投下されたのは、奇しくも私の誕生日である12月10日でした。寒い冬空の下、私は暗い作業部屋の中で孤独に「魔ロゴを選択してスポイトツール、魔ロゴを選択してスポイトツール、魔ロゴを選択してスポイトツール…」とブツブツ唱えながら業者から求められるデータを作成しました。。。ハッピーバースデー私。最高の誕生日プレゼントでした。。。

完成した修正版入稿データがこちら(拡大しています)

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オブジェクトを全部選択するとこうなるんですよ。。。(選択した部分が赤くなっています)

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魔ロゴが2700個くらい並んでいるんですよ。。。
全部手作業で着色したんですよ。。。

はい。

と、まあ、なんとか入稿できてですね。俺パルーザ開催日には私の苦労の結晶がドドーーーンと掲げられていました。実に壮観でした。苦労も吹っ飛びますね!!!!!

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近くで見るとこんな!

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そして後日、無事にショートパンツにリユースされましたとさ。

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めでたしめでたし。


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ベースヒーローKenKenおめでとう!

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「俺パルーザ」の模様はDVDになっているので是非見てみてください。


そして、俺パルこと「俺パルーザ」は今年も開催されます。

今年は「帰ってきたオレパルーザ 2018」、場所はZepp Tokyo12月30日に開催されます。チケット絶賛発売中なのでみなさん一緒にKenKenをお祝いしましょう!

チケットはこちらからどうぞ


竹内光司でした。

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Koji Takeuchi 竹内光司
愛しかないボランティア活動(低予算案件でも超全力で立ち向かったり写真を撮りに自腹で遠征したりなどなど)も多い私に愛のあるサポートをしていただけたらとても嬉しいです。愛のみで活動している才能ある人たちを応援するために使わせていただきます。