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3話 3-2 ”赤と朱のDNA”

**** PIERCING 3話 グリーンネックレス ****
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 進化した動物や植物が人類に反逆してきた世界のお話です
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 この危機的状況の演出に動揺して一瞬以上指示出しが遅れたミサだが、その後何とか状況を持ち直すに至った。そうは言っても圧倒的な数の前に僅かな定常状態が生まれているに過ぎないことは言うまでもない。
「くぅ……キリがないなっ!」
「リュウト、なんでそんなに楽しそうなのですか?」
 会話しながらも迫る敵を次々に撃ち抜いていくリュウトとトーマのコンビ。目の前に倒れる獣の数は増えるのに、前を見れば減った感じが一切ない絶望的な状況だった。
「そんなの決まってるでしょ!こういうシチュエーションで燃えるのが男ってものでしょ!!それと……」
「それと?」
「リリーちゃんへのあてつけさっ」
「なんともまぁ……まぁそれでこそリュウトです」
 動作が加速し始めるリュウト。長距離用のライフルから連射ができるライフルに持ち帰るトーマ。
「なんだか、あっちはヤル気満々だねっ!」
「それはいいけど、大規模トラップは使えそうなのミカ?」
「んー……ちょっと体力的にねぇ」
 そう言っている間にも、細かいトラップを生成して数を減らす。
「レイチェルはそろそろきついんじゃない?一旦下がって回復に努めても――」
「……きつい?誰に向かって言ってんの?ここで私だけ下がれわけないだろ!」
 いつの間にか性格が変わった状態になっているレイチェル。続きを言うのをやめるミサ。その様子に気づいて一瞬同様の色を見せるスピナー二人組。そとでの、あの記憶が思い起こされるのだろう。実際、今のメンバーで訓練を始めてから初めて見せたレイチェルの別人格だ。
 そんなことをしている間にも、どんどんと縮まる大群とメンバーたちの距離。動き回れるスペースが狭まる上に倒した獣の死骸で足場も悪くなる。
「あー!」
 唐突にミカが大きな声を上げる。
「どうしたのミカ?」
「思いついたよ打開策」
「ほんとっ!?」
「レイチェルも怒っちゃってるし―。きっと行けるよ」
 いつになく楽しそうなミカ。つまりハッタリではないということだ。サイレントと視界の点滅で気がおかしくなりそうな状況。ミカがトラップ生成の手を一旦止めて話しはじめた。
「さっきの禁断の果実あるでしょ?あれと同じ成分を組み込んだ弾丸を作るから、それで負担を大分減らせると思うの!」
 確かに相手が勝手に殺し合ってくれる状況になるわけだから大分楽にはなる。しかし対象を完全にコントロールできるわけではないため打開策と言うにはいささかお粗末だ。
「確かにいい考えだとは思うけど、それだけ?」
 思わず聞いてしまうミサ。
「いやいやー。まさかそんなわけ無いでしょ。もう一つ特製弾丸を作るからね。それで空の敵を撃ち抜いてもらえれば!後はやってからのお楽しみ」
「お楽しみって、教えてくれないの?ふざけてるの?」
「ふざけてないよ!大丈夫、これはシミュレーションだから」
「そうかもしれないけど!……」
「大体、毎回こんな悠長に作戦会議できるほど安定してるとも限らないしね。さっ、指示をよろしくね」
「……はぁ」
 ため息を付いては見るものの、ミカの言うことも一理あると思ったミサは支持を出しはじめた。
 ミカはすぐに弾丸の生成に取り掛かる。
「トーマさん!」
「はい」
「一撃で仕留めないでねっ!」
 トーマのライフルの中に弾が生成される。
「リュウトさん!」
「おう!」
「なるべく遠くの空にいるやつを撃てる?」
「任せなっ!」
 快活な声を上げると、リュウトが青白く光り始める。リュウトの拳銃にも弾が生成され始めていた。
 早速、ある程度奥の獣を撃ち始めるトーマ。間引きの要領でターゲットを散らした。
「リュウト、アイリッシュ、受け取りなっ!」
 レイチェルのサポート。今まで経験をしたことのない身体の軽さを覚える。
「リュウト。索敵を開始します」
「あぁ、頼む」
 次の瞬間リュウトの姿はメンバーたちの視界から消えていた。

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