【相談事業】寄り添い、見守る(2)
みなさん、「外国にルーツを持つ子ども」という言葉を聞いたことがありますか?
『親のいずれかまたは両方が外国出身者である子ども』のことをあらわす言葉で、国籍は関係なく外国籍の子どももいれば、日本国籍を持つ「ダブル」と呼ばれる子どももいます。
私たちは以前、在日外国人支援を行うNPO法人で「外国にルーツを持つ子どもたち」の学習支援教室を行なっていました。
私たちはその支援教室で、ある外国にルーツを持つ子どもと出会いました。
小学4年生だった彼女は来日して愛知県に。愛知に住み始めましたが、3ヶ月後に両親の仕事の都合で大阪に引っ越してきました。私たちは大阪で彼女と出会いました。
日本語は難しいけれど、みんなとコミュニケーションをよく取り、よく笑う女の子でした。
学習支援教室の開始前に彼女のお家に迎えに行くと
「先生、ちょっと待ってね。」
と、言い、冷蔵庫から鶏肉を取り出しました。
「夜のごはん、私が作る。
お父さんとお母さん、仕事忙しい。夜10時(に帰ってくる)。」
次に、「先生、ちょっと待ってね。」と、言い、炊飯器をしかけます。
そして、「先生、ちょっと待ってね。」
と、今日の体育で使った水着を洗濯機に入れて、洗濯機を回します。
「また、明日プールある!」と嬉しそうに笑います。
「じゃ、先生、勉強、行こ!」
彼女は、夜まで仕事に行っている両親の代わりに家事を全てこなしていたのでした。
そして、家事の合間に、日本語と学校の宿題をしていました。
1年近く一緒に勉強し、彼女の日本語も上達し、学校の生活にも勉強にも慣れ始めたある日のこと。彼女の顔はとても悲しそうでした。
「先生、私、引っ越すねん。」
話を聞くと、より時給の高い仕事が見つかったので、両親の仕事の都合で引っ越すというのです。
私たちは事情を聞きに、初めて彼女の両親に会いました。
「とても勉強を頑張っています。学校も慣れてきました。友達もたくさんできました。日本語は素晴らしい上達です。ようやく慣れてきた環境が変わってしまうと彼女も大変だと思うんです…。」
「もう決めたことだから。引っ越します。ここでの仕事は大変だったし、お金もないから仕事を変えます。」
彼女は1年半の間に、南米から愛知に、愛知から大阪に、そして、また違う土地に。
彼女は泣きそうな顔で言いました。
「友達できたのに。また、勉強も1から頑張ります…。次の場所でもこんな(みんなと勉強できる)教室あるかなぁ。先生、感謝しています。」
私たちはその時、彼女の勉強を見るだけでなく、彼女の生活環境もしっかりと見守り、彼女の両親とコミュニケーションを取っていればもしかしたらこのようなことにならなかったのではないかと、とても後悔しました。
「両親が仕事が忙しくて不在がちだった」
「家事は全て彼女がしていた」
色んなことに気づいていたのに、何もできなった。
もう少し前に両親と話していたなら。
両親の困りごとにも耳を傾けられたら。
不安定な生活環境は子どもにも影響します。
私たちAdelanteは子どもがどんな環境でも夢をあきらめない社会を作ることを目標にしています。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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