感謝と思いやり
そんな戯言を言って恋人は離れていった。
ひどいことして彼の方から離れていったくせに。
そして今度は私が嫌な奴になった。
仕事さえしていればなんでも許されると思って、周りの人を傷つけ、善意に悪意をぶつけ、思いやりをもって近づいてくると人を突き放した。
あー、クズだ。やばい奴認定されるやつだ。
仕事さえできていれば。
自己肯定感が欠落していたから、自分の価値を仕事の結果でそっくりそのまま補わなければならなかったんだ。
合う職場はそれでよかった。
人間関係も円滑に回っていた、と思い込んでいた。周りに我慢を強いていたかもしれないけど。
でも合わない仕事はそうもいかなかった。
仕事ができない。
仕事ができなくて優しい人になるくらいなら、
性格悪くて仕事できる人になりたいと思った。
でも間違いだった。
仕事を覚えても、残ったのはビジネス的な人間関係のみ。それを選んだのは、ほかでもない自分自身の行いと振る舞いであった。
人の思いやりを踏みにじって搾取して、ここまで来た。
そりゃまわりも人としては距離を置きたいよな、って思って当然だよね。
退職転職以前に多くの踏みにじってきた思いやりに対し、私は懺悔する。
ありがとうは免罪符ではない。
ごめんなさいもそうだ。
その一言なくして、振る舞いからみんな他人に感謝を伝えているんだ。