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顔が見える、ひとりひとりとつながる。

東日本大震災が起きた9年前。
東北に知り合いは全然いなかった。

震災後はコモンビートもボランティア活動で、石巻や女川に入った。事務局はボランティア集めと、彼らを被災地に送るための事務作業(バスの手配や保険の加入、活動についての現地との調整など)に明け暮れた。その調整を東京でやっていたので、僕は現地入りしなかった。

そのせいもあったのか、最初は「いしまき」「おんながわ」と普通に間違えて呼び、何度も現地入りする仲間たちが、街の名前を連呼し、その状況を伝えてくれるようになっても、自分にはあまりリアル感がなかったのを良く覚えてる。

だんだん街の人の名前が情報の中に登場するようになり、自分もその人に会いたくなっていった。そうして現地入りしたのは2011年の11月のことだ。

それから街の方々との偶然の出会いが重なり、震災復興支援活動の一環で東北ミュージカルプログラムが立ち上がる。最初は地元70名と全国から集まった40名のコモンビート経験者の110名でキャストが組まれた。2012年の10月からプログラムを開幕させ、2013年1月に大雪の中、多賀城のホールと石巻の小学校の体育館で公演を行った。

それからも東北ミュージカルは復興支援を目的としながら、2014年7月に東北2期、2015年12月に東北3期が開催された。その参加キャストから繋がって、2018年7月に秋田にも展開した。

最初はただの土地の、地域の名前だった場所から、ひとりひとりの顔が見え始め、だんだんと繋がって今がある。本当に丁寧に繋がって来れたと思っている。

あの日から9年が経ち、東北にはたくさんの「顔の見える」仲間たちが、そしてお互いに心を寄せ合える仲間たちがいる。

大変な世の中だからこそ、人は手を取り合って、互いを支え合いながら生きていくべきだ。そんな仲間が全国にたくさんいることが本当に誇らしくてならない。

そして来年2021年、震災から10年となる年に、石巻に新しく完成する文化ホールでのミュージカル公演の開催を目指している。この10年で繋がった人たちとの再会の場になったら嬉しいし、さらなる出会いの場となることを願う。


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