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スイス[23] スイス語

202203231615スイス語 A. J.

 昔見たテレビ番組で、スイスのことをよく知っているというませたガキが出演していて「『スイス語』はないんだ」とのたまわったのを記憶しております。

 私は言語学者では全然ないですしそもそもドイツ語はまともに出来ず(NHKラジオの入門編レベル)フランス語もイタリア語も同様でラテン語は全然ダメです。だからこの文章もあまり信憑性がないものと思って読んで欲しいのですが、それでも「スイス語」ってあるんじゃね? と思わなくもないです。(グラウビュンデン州の皆さん,ロマンシュ語のことを無視するわけではありませんがここではそれには言及しません。すみません)

 私の知人のスイス人はアールガウ州出身で聞けば母語はスイスドイツ語だと言います。「ドイツ語ではない」とも同時に言いました。参考資料(*1)を見ても、あるいは皆様よくご承知の通りスイスは多言語国家ですね。で聞くところによると数字の読み方などに若干の差異はあれどフランスのフランス語とスイスのフランス語圏のフランス語はそれほど大きな差はないらしい。イタリア語に関してはよく知りません(すみません)。
 ですが古くからのスイスを構成する(なんせ700年以上の歴史がある国ですから)スイスで使われてきた一番メジャーな『ドイツ語』はやっぱり方言として今のドイツで使われるドイツ語とは結構な差異はあるらしいです。書き言葉としてはドイツ語あるいはそれに近い表記の文章はあれど話し言葉としてはスイスドイツ語はドイツ語からかなり離れた存在のようです。

 これはある日本人ドイツ語語学講師に聞いた話ですが彼の標準的ドイツ語がベルン(Bern,スイスの首都)にある大手企業の電話交換手に通じなかった,ということがあったそうです。これはかなり前の話で今はそれほどではないにしても巷でいくらでもあるスイスの方言に関する本を斜め読みでもすればベルリンやフランクフルトで話されるドイツ語とは違うことは多いらしいことがわかります。

 「〇〇だそうです」の多用は避けたいのでこれは私が直接確認した話を述べますが,先に出た知人のスイス人に「感謝を述べるときには Danke かあるいは Merci かどっちですか?」と聞いたところ「どっちも使う」とのことでした。

 これ一つでスイスドイツ語を述べるつもりは全くありません。ただ,フランス語圏からかなり離れたその知人の育ったアールガウ州でもフランス語からの借用があるのは面白いです。
 また表記で言えばスイスの街中では標準的なドイツ語で使うß(エスツェット)を見ません。「通り」を意味するドイツ語のStraßeも例えばスイスのSBB(スイス連邦鉄道)の駅前なんかの看板にはBahnhofstrasse とßの代わりにssを使っています。
 これに関してある現役の日本の大学講師(スイスに留学経験のある日本人)にその理由を確認したら,タイプライターの影響があるのではないか,とその講師は言っていました。つまり英語やフランス語配列のタイプライターでも打てるようにssを多様した,との見解なのですがどうなんでしょうか。それならウムラウトまで代用して打つ必要が出てきますがウムラウトはそのままスイスでも表記が生きています。
 この辺の理由は,現地に住む語学が堪能なスイス人に今度聞いてみようと思います。

(*1)
https://www.eda.admin.ch/aboutswitzerland/ja/home/gesellschaft/sprachen/die-sprachen---fakten-und-zahlen.html

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