空前の筋肉アニメ「ダンベル何キロ持てる?」がいきなり2019夏アニメ注目度No.1になった理由とは?
この7月から放送が始まった夏アニメは、久々の豊作だ。概ね3〜4話までが放送された7月下旬時点で、自分がリアル視聴を続けている作品は20本前後を維持している。そんな佳作揃いの中にあって、断然イキがいいと言えるのが「ダンベル何キロもてる?」だ。原作は「マンガワン」「裏サンデー」など配信媒体で連載されているものの、それほど知名度があるわけではなかったようだ。しかし、第1話のインパクトがあまりに強かったせいか、深夜アニメウォッチャーの間でまたたく間に注目度No.1作品になってしまった。
暑苦しすぎるムキムキ表現が好評?
ストーリーをかんたんにおさらいしておくと、主人公の女子高生・ひびきが一念発起でダイエットしようと入会したスポーツジムで、同級生との出会いなどから禁断の筋トレワールドへ引きずり込まれていく、という内容だ。
一気に注目された理由はいくつかある。1つは暑苦しいまでのムキムキ描写だ。
ひびきが体験入会したシルバーマンジムには、一見爽やかイケメンお兄さんのトレーナー、街雄が懇切丁寧に指導してくれるのだが、「さいど」とふと口にした途端に、体をひねらせ両腕を組むサイドチェストのポーズをするや、着ていたジャージが弾け飛び、衝撃の筋肉美が露わに!そのオーバーすぎる表現がこのアニメの方向性、世界観を一瞬で見せつけた効果は絶大だった。
もちろん、ひびきたち女性キャラが筋トレをする際の、ちょっとセクシーな喘ぎ声も引きの一つではあるが、あのエネルギーの塊のようなマッチョ表現の前ではほんのおまけにしか感じられない。
ヘビロテ必至のED曲
2つ目のポイントは街雄のCV、石川界人が歌うED曲「マッチョアネーム?」の映像と歌詞のインパクトだ。
ひびきたちメインの女性キャラたちに混ざって、スキンヘッドのムキムキ男がぞろぞろ登場し、バーベルやダンベルを持ち上げながら「マッソーマッソー」と歌い上げる。その映像は、たちまち視聴者の頭に刷り込まれ、気がつけば頭の中でヘビロテ状態なのだ。
本作のアニメ制作は動画工房が担当している。「世話やき狐の仙狐さん」や「私に天使が舞い降りた」などふわっとした癒やし系日常作品を多数手掛けることで定評があるスタジオだが、その経験をもとに、こんな破壊力抜群の作品を作ってしまうとは。そういえばここ、「うちのメイドがうざすぎる」という筋肉前科があったな。よし、今度から筋肉工房と呼んであげよう。
筋肉アニメは裏切らない!
そして、3つ目のポイントは、やはり空前の筋肉ブームを巧みに捉えた戦略の結果が大きいと言えよう。NHKの「みんなの筋肉体操」の大当たりが、本作のアニメ化と密接に関係していると言っていいだろう(現に、劇中に同番組のセットと思しき背景が登場している)。
劇中では度々「街雄の筋肉講座」というコーナーが突発的に始まり、いつでも手軽に鍛えられる筋肉トレーニングや、効果的な食事法などを極めて具体的、実践的に紹介してくれるのだ。珍しいスポーツを題材にしたアニメをきっかけにその競技が人気化するというケースは度々あるが、アニメを見たあとだ早速試したくなる気にさせる実用性の高さは軽視できないものがある。
筋トレに限らず、健全な体作りはアニメを見ている誰にでも関わってくる問題だ。それは、普段からスナック菓子などをボリボリ頬張りながらアニメを見ているインドア系オタクの中に潜む小さな罪悪感をも刺激するのかもしれない。秋ごろには、巷のスポーツジムにアニヲタたちが殺到する現象が、もしかしたら見られるかもしれない。