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アニメ「サクラクエスト」、チュパカブラ王国はしーちゃんがいるから「だんないよ」

 今期(4〜6月期)の深夜アニメで自分が注目している1本が「サクラクエスト」だ「花咲くいろは」や「SHIROBAKO」でスマッシュヒットを飛ばしたPA.WORKS制作で、お仕事シリーズ第3弾と銘打たれている。

 就職活動で失敗し万策尽きつつあった女子大生・木春由乃が、ひょんなことから限界集落一歩手前の田舎町の町おこしのため“国王”に任命されて奮闘する、というのが大まかなストーリーだ。バブルの頃にちょっと流行ったミニ独立国の夢をもう一度!という観光協会会長の無茶振りアイデア=クエストをこなしながら成長していくヒロインの健気さが見どころというわけだ。

 全般のテイストとしては「あまちゃん」や「まれ」などコメディ系朝ドラに近い。宮藤官九郎あたりに実写で作らせてみるのも面白いかもしれない。

 作品は2クールの予定でまだ全般が見えてきてないが、今までのところ、ドタバタ喜劇と真面目な人情噺の取り合わせが小気味よく働いている。ほかのアニメ作品に比べると地味かもしれないが、回を重ねるごとにファンも増えているようだ。

 このアニメで最も気になるキャラが、ヒロインの由乃とともに町おこしに奮闘する四ノ宮しおり、愛称はしーちゃんだ。チュパカブラ王国の国王・由乃とともに町おこしの仕事に当たる4人の若い女性がいるのだが、そのなかで断然、嫁力が高いのが彼女だ。地元・間野山生まれで地元を愛し、誰とでもすぐ仲良くなれる人懐っこさと明るさの持ち主。さらに料理の腕も抜群で、床に這ってるゲジゲジにも物怖じせず適切に処理してしまう気丈さも持ち合わせる。同じく国王を支える幼馴染のリリ子(栞とは真逆の引きこもり体質)はしおりを「小悪魔じゃなくサタン」と評価する。あんなかわいいサタンなら地獄に落ちてもいいと断言する筆者である。

 そのしおりの奮闘ぶりが描かれたのが第8〜9話。町おこしの一環としてグルメイベントを企画した国王たちだったが、迂闊にも地元商店街の納涼会とスケジュールがバッティングしてしまう。よそからやってきた国王に厳しい目が注がれるなか、双方の立場を理解するしおりが間に立ち、双方が納得する方法を自分がきっと見つけると断言する。そして考えた末、しおりは観光協会の企画とと商店会の納涼会をひとつにしたイベント、間野山そうめん祭りを提案する。双方の合意を取り付けたしおりや国王たちは準備に奔走。地元のママ友連合など周囲の協力を次々に取り付け、ついにイベントを成功に導いた。その手腕に感服した国王は、しおりを人と人との間を取り持つ“とりもち大臣”任命するのだった。ただしネーミングセンスの酷さからか、しおりは大臣職を任命から3秒で辞任してしまうのだった。さすがサタン、王よりも上に立つものといえよう。

 そんなしおりの口癖は「だんないよ」。「大丈夫だよ」「心配ないよ」を意味する地元の方言(PA.WORKSがある富山県の言葉らしい)だ。まだまだ続く国王たちの試練だが、嫁力最強の彼女がいる限りこのアニメの行く末は「だんないよ」。

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