すき家の“店内・持ち帰り同価格”戦略はアリかナシか?
10月の消費税率引き上げと軽減税率の導入まで1ヶ月足らずとなり、にわかにざわめきだってきた。
やはり気になるのは、ファストフード店やイートインを備えたコンビニなど、いわゆる二股をかけている業態がどう振り分けにかかるかだ。
コンビニで買ったおにぎりをイートインで食べたら10%取られるのか、途中で食べきれなくなって食べかけを持ったまま店を出たらその分税金は戻ってくるなんてことはないのか? 店のドアの敷居をまたぎながら食べたら税金は9%にでもなるのか、などなど。そんな事を考えていると夜も寝られなくなっちゃうんですと春日三球(地下鉄漫才で一斉を風靡した漫才師です)なら嘆いていよう。
そんななかで、きょう目についたのはこのニュースだ。
この記事によると、すき家は、牛丼並盛の本体価格を店内で食べる場合は本体価格を現行の325円から319円に引き下げ、持ち帰りの場合と税込価格で同額にするという。つまり、持ち帰りのほうが本体価格は高くなるわけだ。
もちろん、モノの値段をどう決めるかは店側の勝手であり、持ち帰りと店内との差額6円をどう扱おうと誰にも文句を言われる筋合いはない。どこか別のところでコスト削減を行い、この差額分をひねり出せていれば全く問題はあるまい。例えば、持ち帰りの場合はこれまでただで付けていた割り箸や紅生姜などを別売り・課金にする方法もあったと思う(実際アイデアとしては挙がったであろう)が、すき家としてはそうはしなかったということだろう。
すき家といえば、ひところ、店員の運用などで批判の的になったこともあり、イメージ戦略においては他の牛丼チェーン以上に気を配っているだろうし、少しでもお客に好感をもってもらおうとの意識の強さが、今回の軽減税率に反映されたとも考えられよう。
普通、飲食店でのテイクアウトは、店での価格と同等、場合によっては持ち帰りのほうが少し安いことも少なくないものだ。その意味で、すき家の作戦は意表をついており、博打的側面もあるだろう。
チェーンによっては、税率が変わる分、素直に価格に上乗せして客に負担してもらうほうが、変に奇をてらうよりも帰って混乱や歪みを生むこともないと考えるケースもあるだろう。すき家が正しいか、ほかが正しいか、答えが出るのは暫く先となるだろう。
ただ、消費税に差が生じるという初めての状況で実際に何が起こるのか、消費者の立場としてはより冷静で賢い視線を持つことが重要であることは間違いない。