強くて「NEW GAME!!」が帰ってきた!
7月スタートの深夜アニメが始まってそろそろ2週目。仕事柄ほぼすべての作品に目を通した(中には5分もたたずにきったものもあるけど)が、今のところ豊作と言って良さそう。その中で、「NEW GAME!!」の強さは一歩抜き出ている印象だ。もともと人気が高かった漫画原作の第2期だから、評価が高いのは当然かも知れないが、名跡に寄りかからない攻めの姿勢が随所に見られて心地よい。この1本だけで10月まで幸せでいられそうだ。
とりわけ、そのクオリティの高さが際立ったのが第2話だ。主人公で入社2年目、駆け出しのゲームクリエイター・涼風青葉が、夢のキャラクターデザイナーへの道へ一歩踏み出した、というのが第2話の大まかなあらすじ。ゲーム制作会社イーグルジャンプのトップクリエーター・八神コウに憧れて1年間仕事をしてきた青葉に、キャラクターデザインコンペのチャンスが訪れる。コンペにはほかの先輩たちも参加、もちろんコウも実績を追い風に参戦する。
大きなチャンスに興奮する青葉だったが、参考にと見せてもらったコウが描いたラフに実力差を見せつけられるが、一方で単なるあこがれではない、一人のライバルの仕事へのほのかな嫉妬心を覚える。このシーンでの青葉の細かな表情の変化を繊細な作画で表現しているのがなんとも心憎い。そして、青葉は自分のデスクに戻って試行錯誤を重ねた末、足元に転がっていたあるアイテムにヒントを得て、1体の可愛らしいキャラクターを書き上げる。この際の青葉の表現演出も、静かに燃える心の動きが見えて実に清々しい。
そしていよいよ第1回コンペに望む青葉たち。最初に登壇したのはコウだったが、青葉がとてもかなわないと感じた彼女のキャラクターは、ディレクターの葉月しずくから新鮮味の弱さを理由にあっさりNGが出されてしまう。場内騒然とする中続いて立ったのは青葉。コウが描いたファンタジー系のキャラとは対象的な、日常系アニメっぽい脱力キャラがスクリーンに現れるや、しずくの心を捉えた。青葉はさらなるキャラのブラッシュアップを指示され、目を輝かせる。一方で自信満々のデザインを全否定されたコウは触れれば爆発しそうな腫れ物状態。アドバイスを貰おうと近づく青葉にきつく当たる。それでも体当たりで助け舟を求める青葉に、コウは的確なアドバイスで対応。その流れから、青葉とコウによる共同キャラクターデザインという形につながるのだった。ここまでに至る2人の心の動きも、繊細な絵の流れが軸にあり、決して多弁を要さない。アニメのあるべき形を見た思いだ。
日常系アニメというとどうしても大作よりしたのイメージで捉えてしまいがちだが、この昨日にその評価はまったくもって当たらない。脚本と演出、キャラの描写に音楽と、これほど絶妙なバランスで構成されている作品はそうはない。それを見事に描いてみせたのがこの第2話といっていいのではないだろうか。
第2期の大きな流れはほぼこれで固まったと言っていいのだろう。これに、第1期からおなじみのクセのあるキャラクターたち外絡みが、こちらも更なるパワーアップを図りながら展開される予感。そして更なる新キャラの登場もありそう。第1期を超える第2期は極めて高いハードルが立ちはだかるのが深夜アニメの常だが、「NEW GAME!!」に限ってはその心配はカケラもなさそうだ。