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一味違う転生アニメ登場、「ナイツ&マジック」に期待

 ここ最近、“転生アニメ”に良作が目立つ。とりわけ顕著なのは、昨年ブームを起こした“リゼロ”こと「Re:ゼロから始める異世界生活」や“このすば”こと「この素晴らしい世界に祝福を」の2作だ。いずれも、現実世界でヲタクとして生活していた主人公がつまらない事故で頓死し、RPGなどでよく見られるファンタジー世界で甦って、生前の知識や習慣を武器に新たな人生を過ごしていくというのが、共通したストーリー展開だ。いずれも共通しているのは、現実世界では世間から隔絶したダメダメ人間だったのが、ゲームにのめり込んでいたことを強みに異世界では英雄に上り詰めてしまう(というといささか言いすぎなのだが)という点。
 これらがヒットした要因は、練り込まれた筋書きや小気味いいギャグ要素なども挙げられるが、やはり一番大きいのは視聴者の“変わりたい願望”と絶妙にマッチしたからなのだろう。このままもんもんと生きていても先行きなんて知れている。それならいっそ非現実のゲーム世界で冒険に出かけたい。感覚の強弱は個人差があれど、心の奥底にふつふつと湧き上がっていたそんな気持ちに、“転生アニメ”が応えてくれたに違いない。
 そんな“転生アニメ”に新手が現れた。それが7月から放送が始まった「ナイツ&マジック」だ。本作も現実世界で事故死した一人の男が異世界に転生する物語だが、前述の2作とは様々な点で異なり、対照的だ。
 まず、主人公は現実世界で凄腕プログラマーとして鳴らし、周りから極めて高い評価を得ている。決して引きこもりでもニートでもない。しかし、彼には仕事とは別の果たせぬ夢を心の底にたぎらせていた。巨大ロボットである。
 仕事帰りに新作プラモデルを買い込みひたすら作り続ける。曰く「ロボットは男のロマンだ」。しかし彼はある日、不慮の交通事故にあい死んでしまう。もう新作のプラモも作ることは出来ないのかとの怨念を抱えながら。その思念が点に通じたのか、彼は異世界の幼児のなかに前世の感覚を保持したまま転生する。その世界にはモビルスーツのような巨大ロボット=シルエットナイトが跳梁していた。彼にとってはまさに理想郷に転生したというわけだ。そして彼は天才プログラマーとしての知識と感覚を持ったまま幼少期から青年へと育ち、魔法と騎士の世界でメキメキとその天才ぶりに磨きをかけていく。リゼロやこのすばの主人公はコンプレックスを持って転生していたが、「ナイツ&マジック」の彼には異世界においては全くそれがない。プログラマー独特の思考と言うか、極めて冷静沈着で、かつ前向きなのである。しかもアニメのストーリー展開も極めてテンポが良い。
 原作もののアニメなので原作を読めば先の展開はわかるはずだが、筆者の性格としては良作を予感させるものほどそれをしたくない。7月スタートアニメの覇権有力候補として、今後の展開を見守っていきたい。

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