未来のメンバーにお話ししたいアダコテックの15年
アダコテックについて
アダコテックのCTOをしている伊藤です。
私たちは「モノづくりの進化と革新を支える」というミッションのもと、モノづくりにおける検査・検品の省人化・自動化を推進しているスタートアップ企業です。自動車を出荷する前に車体の数ミリの傷の有無を目視で確認する。そんな作業を自動化し、人はよりクリエイティブな事に集中する事でより良いモノづくりを実現して行きたいと考えています。
国立研究開発法人産業技術総合研究所(産総研)で発明された、高次局所自己相関特徴量(HLAC)という技術を活用したプロダクトの開発を推進しています。2022年の4月にはシリーズBの資金調達を行い、総額で20億円の資金を調達しております。
昨今、スタートアップの資金調達も比較的しやすい環境になり、多くの成功した企業が生まれています。しかし、アダコテックは「起業から短期間で20億の資金調達をした短期的に飛躍した会社」ではなく、15年の紆余曲折の歴史の中で、技術を社会に提供するための試行錯誤を繰り返してきました。今後加わるメンバーにむけて、アダコテックがやろうとしていることの理解の一助とするために、15年の歴史をnoteにとりまとめたいと思います。
私がアダコテックに参加した理由
アダコテックの歴史を説明する前に、なぜ私がアダコテックに参加したかを説明します。
子供のころ、某アニメの22世紀の様子とかつくば万博の未来の乗り物を見て「未来は今と比べてこんなにすごくなるのか!こんなすごい世界を作る事に関わりたい!」と思ってコンピュータとか機械の勉強とか仕事とかに関わりたいと思い、その思いが理系の道に進む切っ掛けとなりました。
その後、大学、大学院と進学し、縁あって産総研で修士論文に取り組んでいました。しかし、多くの素晴らしい技術が発明され公開されていく一方で、実際に社会で活用されるために多くの障壁があることをしりました。理由として、論文を投稿したりや特許を出願した後も、実用化のための多くの開発を継続する必要があり、多くのケースでは途中で研究を完了してしまっています。
産総研で研究に取り組んだ中で折角の成果が何も生かされずに埋もれていくのは非常に勿体ないと感じ、優れた技術を社会実装していく事に貢献できるような事に関わりたいと強く感じていました。
そんな中、HLACという技術を活用した静止画や動画解析に関する技術の実用化を進めるベンチャーを立ち上げるという話があり、エンジニアとして参加をきめました。当時(というか割と今も)世の中には人の感覚に頼った作業が結構存在している事を知って、そんな世の中を便利していきたいという思いはありましたが冒頭の通り順風満帆という事はなく、紆余曲折の連続でした。
紆余曲折の15年
紆余曲折の15年を年表にまとめるとこんな感じになります。
深層学習の躍進による第3次AIブームの前から、学習的なアプローチの技術の実用化にチャレンジしてきました。海のものとも山のものともわからない技術という目で見られる中、注力する市場を求めてさまよったり、用途特化の技術 or 汎用的な技術のどちらに技術を育て行くのかトライ&エラーを繰り返していました。
トライ&エラーの繰り返しの結果、資金的にきつくなり、受託開発をおこなう時期もありました。前身の会社は事業が立ち行かなくなってしまいました。しかし、あきらめずに2012年にアダコテックを設立し事業を継続し、着実に実用化事例を積み上げていき、シリーズA、シリーズBと確実に会社を成長させる事ができました。
過去の振り返り
会社設立当時、私は下記の様な事を考えていました。それで見事に痛い目を見ました。
画像処理AIが提供する検査機能はあくまでシステム全体の一部です。そのため、検査精度の不足を運用でカバーできる案件の方がスムーズに実用化に至っています(いまでいうHuman-in-the-loop)。
例えばの話です。
ショッピングモールにAI監視カメラを導入して、不審人物を発見したいという相談を受けたとします。この時、通知先を店舗スタッフにすると通常の店舗業務に加えて、監視業務が増える事になるので非常に高い精度が求められます。
一方で、守衛室に通知し適宜店舗スタッフと連携するみたいな運用にすれば、本来業務の延長となり許容される誤報率が変わってきます。(少なくとも監視カメラを常時目視確認している状態からは、省力化が進みます。)
このように何のために使うのか?、誰が使うのか?、処理結果をどう扱うのか?のようにシステムとしてどう提供していく事が重要という事を15年の試行錯誤の中で身をもって経験してきました。
もちろん、一定水準の検査精度すら達成できない技術は論外です。しかしながら、過去のプロジェクトを振り返ると検査精度をアピールして、検査精度を追い求めた案件ほど、どつぼにハマってプロジェクトが遅延している傾向にあります。
現在の取り組み
繰り返しになりますが、私たちは「モノづくりの進化と革新を支える」というミッションのもと、モノづくりにおける検査・検品の省人化・自動化を推進しています。
シリーズAの資金調達前までは過去の振り返りを踏まえて属人的に検査・検品の省人化・自動化を推進してきましたが、シリーズA以降の現在はプロダクトによる検査・検品の省人化・自動化を目指しています。私たちの強みであるHLACに加えてMLOps技術を活用し、誰が使っても同じ精度のモデルを短時間で開発できる学習プラットフォームを展開しています。
これからの挑戦
20年近く前に食品工場でアルバイトをした際に、「流れてきたパックを搬送用ケースに移す。もし、パックが空いていたら閉じて搬送用ケースに移す。」という作業を夜間ひたすら行っていました。20年たった現在も人の感覚に頼った業務がモノづくり業界ではかなり残っています。
多くの企業がAI技術を活用してこの課題にチャレンジしていますが、わたしたちを含めて大きなシェアを獲得できた企業は存在しません。人が検査・検品以上の価値を提供しているか、検査の自動化以外が根本課題なのか、顧客の求める価値と我々の提供価値に乖離があると思っています。
アダコテックでは、「検査」だけでなく「検査運用」までサポートするプロダクト(=ソリューション)を提供する事で、顧客が求める価値を実現しようと事業開発からプロダクト開発まで一丸となって挑戦しています。
技術面では、HLACや一般的な機械学習や統計の技術だけでなく、MLOpsやクラウドコンピューティングやWEBアプリに関する技術など様々な技術が必要となります。事業開発やカスタマーサクセスといったメンバーと密に協働しながら、事業を推進しています。
非常に困難な取り組みですが、やりがいはあると思っています。
私たちの挑戦に興味を持つ方がいましたら、ご連絡ください!ぜひ一度カジュアルにお話しましょう!
メンバー募集中です
我々と一緒にモノづくりに革新を起こしましょう!
オープンポジション
https://herp.careers/v1/adacotech/DAKl7R6tVTd9
技術営業
https://herp.careers/v1/adacotech/uylO7yG_Kieb
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プロダクトデザイナー
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