映画「新聞記者」を飲み込めなかった
みんなこの映画を待っていた....のだろうか
時間があれば、自分のパソコンやスマートフォンのブラウザ上にあるYahooへのショートカットボタンを押し小さなニュースを見続ける癖が私にはあります。
興味の一片もない野党の怒号飛び交う予算委員会のニュースや誰と誰が熱愛だ不倫だと汚い文章を飛ばす芸能ニュースに触れて少し頭が良くなったと踏ん反り返っている中、あるニュースが私の目の中に飛び込んできました。
批評家が絶賛 映画「新聞記者」が暴いた安倍政権の“暗部”
上記は元サイトの日刊ゲンダイですが、かなり映画に対して高評価。
以前も映画について投稿した際にも書いたとおり、鑑賞する前にはあらすじを見ないようにしています。ましてや今回は政治色の強そうな映画。
東京新聞記者・望月衣塑子氏(44)のノンフィクションを原案に、「デイアンドナイト」など本格的な人間ドラマで定評ある藤井道人監督が、映画オリジナルの脚本を練り上げて実写化したポリティカルドラマ。これが今、試写を見た業界関係者の間で大変な話題になっているのだ。その内容を、映画批評家の前田有一氏が驚きを隠せぬ様子で語る。
「タイトルこそ著書に合わせていますが、映画版はもはや“安倍政権の闇”とでも題したくなるほど現政権の疑惑を網羅した内容です。最近ハリウッドでは、チェイニー副大統領を描いた『バイス』など政治批判の映画が話題ですが、しょせんは過去の話。本作は現政権の、現在進行中の未解決事件を映画化した点で前代未聞です。ハリウッドでさえ、こんなことをしようという無謀な映画人はいない。社会派映画史に刻まれるべき偉業です」
べた褒めです。
映画「新聞記者」は東京新聞の望月衣塑子氏のノンフィクションが原案、映画内では朝日・毎日・読売といった実在する新聞社名が出てきたり、森友学園問題や加計学園問題やレイプ問題などなど。
オマージュやパロディどころではなく、ストレートに描写されているのがこの映画の特徴です。
主演は東都新聞記者・吉岡を演じる、シム・ウンギョンさんです。
そして内閣情報調査室の官僚・杉原を松坂桃李さんが演じます。
ここ最近は空母いぶきの佐藤浩市さんのインタビューが右翼・左翼のみなさんが神輿をバンバンぶつけ合って喧嘩をするなど映画と政治が混ざっている中でのこの映画評論。
ニュースサイト渡り歩けば、この映画に対する評価は高いようで、「この映画の登場は日本映画を変えるのだ!」と声を高々に上げる映画評論家の方々が多い。
公式サイトの下部には映画評が並び、現政権に対する批判を並べることの多い面々による高評価の文章が並びます。低評価を並べることなんてありえないんですけどね。
政治にあまり興味のない私は「じゃあこの映画を見てやらんこともない」と上から目線で日曜日に見に行くことにしました。
まず上映館が微妙
この映画、イオングループの映画興行会社であるイオンエンターテイメントが配給しています。
なのでこの影響でというかこのせいで、最寄りのTOHOシネマズでやっていませんでした。大手のシネマコンプレックスで見るならイオンシネマやMOVIXとかに行かないといけません。
非常に面倒くさいところでしたので、ちょっと愚痴を書かせていただきました。
ネット上と現実の乖離
日曜日の早朝。朝8時50分。
この時間帯にこんな政治色の強い映画を見に行く自分が悪いのですが、若年層と呼べる人間は私一人だけでした。
間を空けて隣には年配のご夫婦。
何故か周りが空いているのに隣にやってきた薄手の半袖を着た60代の女性。
上を見ても下を見ても年配の人、年配の人。
ここで思ったことがあります。
主演は松坂桃李さん、奥様役に本田翼さんが出演しています。
ネット上では松坂桃季さんのファンの方々が「見に行きます!」と大きな声を上げるが如く並んでいましたが、なんか少し客層がねぇと思えてしまいます。
映画内では内閣情報調査室がツイッター等のSNSを活用し情報操作をしているシーンがあります。
伊藤詩織さんのレイプ事件を題材にしたシーンでは、被害者の女性が記者会見をした事に対して、内閣情報調査室の職員がネット上で批判の方向へ向かわせる投稿をし、結果冷たい言葉がネット上に飛び交い、杉原がドン引きという場面。
これ、政権支持する側の人々も政権に批判的な人々も同じことしてるでしょ?とはてなマークを頭に思い浮かばせました。
何を被害者ヅラしてんだ?結局同じ貉だろ?と。
ネット上ではこの映画に対する賛辞を上げる人々イコール若い人たちという勝手な印象を私は持っていました。
だって60代ぐらいの人たちしかいないのにこの人達がキラキラした言葉でツイートすると思えない。
批判的な言葉を並べるのも同じ年代の人達なのかもしれない。
やっぱり自分の目で動いてみないとわからないことだらけです。
望月さんと前川さん出すぎ問題
映画は約2時間。検閲の厳しい国だったら監督は即処刑されても致し方ないほど政権が隠したい、大っぴらにされたくないことを詰め込んでいます。
これは確かに今まで見たことはありません。
シム・ウンギョンさんや松坂桃李さん演じる記者や官僚が政権からの圧力に耐え、怯える。
これが現実で起きているのだとメッセージを受け取れます。
ただね。
ただですよ。
メインキャストより先にですね、望月衣塑子記者や森友学園の騒動の中心にいた前川喜平さんがテレビ番組で報道について討論する場面で出てきます。
いや出てきちゃだめでしょ。
そこで出てこないで映画を通してメッセージを出しなさいよ。
一度でもなく4,5回ぐらい出てきます。
前川さんに似た境遇の官僚役も出てくるのでもっと出ている。
望月さんに関してはサブリミナルかよってちょこちょこ出てきます。
二人が出てくることで映画に対する集中が分散しました。
これって結局二人の今までやってきたことを美化しているのでは?
イメージビデオじゃね?
私達のやっていることは正しいのだから圧を加える政権は消えていなくなるべきだよねって言いたいのでは?
正直、いくらのギャラ貰ったのかなって最初の5分ぐらい思っていました。
残念ながら前川さんの出会い系バーのシーンはありません。
この国での、この映画の存在価値
批判的な言葉を並べてしまうと偏りが酷いのでもう少し好意的な文章を並べたいと思います。
新聞記者や週刊誌記者も同じなのでしょうか、
ペンは剣よりも強し
バキじゃないです。バキでもこのセリフが出てくるそうです。知りませんでした。
この言葉を信念に記者たちはあらゆる問題を追いかけます。
政権を野放しにするわけにはいかない。権力者を監視する役目をマスコミは担っていると。だから圧には屈しない。でもうまくいかないときもあるのさ....。
そんなメッセージでしょうか。受け取ったこととしては。
政権の内側にも正義を忘れていない人々がいる。
もう一度自分の心を見直して、このおかしな国を治そう。
政権に対して批判的な問題が発生するとすぐに火消しを図る、周りの力が働きすぎて言いたいことも言えない。この空気は確かに嫌なものです。
棚に上げすぎて問題が見えない
しかし、マスコミを中心にメディアに対する不信感はどちらの政治思想関係なく広がっているのも事実。
望月さんが原案を作ったわけですが、これって新聞記者が抱えている問題を全力で棚に上げているだけではないのだろうかと。
官房長官に対して、週刊誌の記事を元に質問をしたり、他の記者の時間を使ってでも質問してしまうこと等。
自分のやっていることは問題ない。大丈夫だ。なぜなら政権に対しては何やっても大丈夫だから。
マスコミは踏み込めばいいところを踏み込まない。
それらを政権のせいにするのか?
それは報道の自由だから。
名前を出せない、言いたいことも言えない。
それは今の政権のせいだ!
この映画のように真っ直ぐな瞳を持ってニュースを追いかける記者さんはどれだけいるのでしょうかね。
なんて、今の人達は思っているのだと思いますが、そこら辺どうなんでしょうね。
映画としてはまあ、まあ、まあね。
はっきり言います。
普通です。ありきたりです。
映画としては微妙です。
手放しで面白いとは恥ずかしくて言えません。
しかも誰も中立の人がいない。
万人受けするものではありません。だからおすすめもしません。
政権に対して批判的な人たちはこの映画に対して賛辞を送って涎を垂らして大喜びし、政権を応援する側の人たちは生ゴミのようにこの映画を敬遠し怒り狂う。
正義側と思える側は明るく、悪側と思える人たちは闇に近い暗さ。
こんな善と悪をはっきりと表現しているのはアメコミ映画ぐらいですよ。
あと本田翼さん目当てで見る方、おすすめしません。
合計でも5分も出てきません。
でも、赤ちゃんを抱っこするシーンを見たい方はおすすめです。
あと映画で物理的に吐きそうになったのは初めてです。
新聞社内ではブレにブレる。臨場感を出したいのでしょう。
でも、目が回りそうになります。
問題提起としてはこの空気の中で出したことはすごいことです。
怖がらず問題提起したことはすごい。
政権の圧に屈せずこの映画のように新聞記者等のマスコミ関係者の方々には頑張ってほしいですね。
ただしかし、ツイッター上で高評価のツイートをしているアカウントのプロフィールを見ると「安倍政権打倒!」や「選挙に行こう」「肉球新党」など香ばしい匂いを放つ人々が多いのは、気のせいでしょうかね?
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