【雑感】あまりに不親切極まる年金扶養親族等申告書
日本年金機構から「令和7年度扶養親族等申告書を郵送したので10月末までに提出するように」とのメールが来たが、いくら探しても肝心の申告書は届いていませんでした。そこで年金機構に電話で聞いたところ、昨年電子申告をした人には申請書は送ってはいないとの返事。寄る年波で健忘症にでもなったようで1年前に電子申告したことは思い出せませんでしたが、ご指示に従ってスマホからマイナポータルを開いてみました。
そこで、申告までのプロセスを図解し、悪戦苦闘ぶりを以下に紹介します。
字が小さすぎて見にくいので老眼鏡かけて上下にスクロールして探したところ、どうやら「年金」という項目がそれだと思い(上図の①)タップしたところ、「学生納付特例」だの「産前産後保険料免除」だの、およそ私に関係のない内容がずらりと並んでおり、これって本当にマイナポータル(私のポータル)なの?と疑いつつも何度か見返しましたが、一向に「扶養親族等申告書」という項目は見つかりません。
それなら『ねんきんネット』の項目にあるのかも?と推理を働かせ「ねんきんネットトップ」をタップしてみました(上図②)。ねんきんネットは表示されましたが、その冒頭に「ログイン(リセット要求)」なる不穏な表題と「正確にログアウトされなかった可能性があります」という文章が出ました(上図③)。もちろんマイナポータルから入ったのでログアウトなどしておらず、そもそもこの文章には主語(何をログアウトしていなかったのか?)が見当たらず、無視することにしました。というより、見たくないので見ないようにして「ねんきんネットトップページへ」をタップ(上図③)しました。
ねんきんネットにもかなり盛りだくさんな項目が羅列しており、肝心の届書のページは何処?と探しまくった結果、ようやく「届書を申請する」という項目を見つけ、「申請する届書を選択する」をタップしました(上図④)。
届書の選択画面で、ようやくついぞお目にかかれなかった「扶養親族等申告書」と感動の出会いを果たせましたが(上図⑤)、⑥から⑦に至るには「申請書の作成」→「確認」→「電子署名」のプロセスを経ることになります。
以上の動作を経てようやく年金扶養親族届が完了した訳ですが、4点ほど疑問を感じました。
疑問1)届書に行きつくまでのプロセス(推理を働かせつつ見つけるのも含めて)が多過ぎて、年金受給者(一般的には高齢者)の手には余る作業になってはいないだろうか?という疑問です。年金機構からのメールにはURLが張られていましたが、サイトを開いたら「○○の場合はこちら」的なリンク集のようになっていました。参考までに年金機構のメールに書かれているURLからリンクを辿ってみてください。おそらく嫌になると思います。さらに、行きついた先では16分余りのビデオが表示され、これを見てこの通りやるべしとのことのようです。果たして扶養親族届出すのに16分以上も学習しなければならないとすれば、面倒な電子申告ではなく郵送された書面に〇をつけて出した方がましと思う人が大多数ではないでしょうか?切手代は自己負担になりますが、その方が簡単と思わせるに十分な面倒な作業でした。
疑問2)申請には電子署名が必要となりますが、そもそも電子認証と電子署名の区別など一般の方はどこまでご存じなのだろうか?とも思ってしまいました。電子署名には署名用電子証明書暗証番号が必要ですが、マイナンバー発行時に指定したはずの暗証番号ですが、ただ言われるがままに機械的に指定した人が大多数だと思うのです。電子認証と電子署名は異なる処理であることをしっかりと告知しておかない限り、数回入れ間違えて無効にされてしまうケースは多発するのではないでしょうか?その結果「やはりマイナカードなどは使い物にならん」と電子申請そのものへの拒否反応が醸成されないとも限らないように思うのです。
疑問3)扶養親族届を提出するタイミングは毎年今頃と決まってはいますが、郵送されないと気付かない人も多いのではないでしょうか?年金機構の方針では、過去に電子申請を行った人には郵送しないとのことですが、メールだけで徹底されるほどデジタル文化は浸透していないように思うのです。さらに言えば、扶養親族情報などは住民票を参照すれば一目瞭然のはずで、障害者も手帳の交付を受けていれば行政内情報連携で判明するはずです。マイナンバー制度が法制化されて9年も経つのに、今に至るもわざわざこうした届書を市民に強いていること自体異常と考えざるを得ません。一体いつになったら本来の事務負担を軽減するための行政間の情報連携は完成するのでしょうか?
疑問4)マイナポータルは欧州のマイページに倣ったものですが、自分に関係ない項目があまりに多すぎて、到底マイポータル(私のポータル)とは思えません。ページをその人に応じてカスタマイズすることなどは、別に目新しい技術を使わなくてもXMLなどで容易にできるはずです。最大公約数的にだらだらと余計な項目ばかりを羅列して混乱を招くのではなく、本当のマイページを提供してもらいたいものだと思うのです。
以上、今夜の悪戦苦闘から見えてきた電子申請の現状の一端話でした。
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