競輪.001

覚悟と準備~競輪選手から学んだこと~

今回書きたいこと

今、僕はTENTIAL(テンシャル)という会社でインソール(靴の中敷き)の営業を主にしています。※社名の由来はポテンシャルからきています。

どんな営業かというと、個人のお客様向けにイベントで開いたり、企業に対して卸販売したり、他にもインソールを届けられるありとあらゆるところにインソールの営業をさせてもらってます。

そして営業をしていくなかで、ありがたいことに色々なご縁をいただいて、立川競輪開催中(3/2~3)に出場した競輪選手に向けて、インソールの体験販売会をさせていただきました。

本当に感謝しかありません。

今まで色々なイベントでインソールの体験販売をしてきましたが、 今回はプロアスリートに対してであり、かつ私とは全くの無縁の競輪。

正直、インソールの魅力を届けられるか不安でした。

ですが、いざ始まってみたら思いがけないことに多くの選手にご購入いただけました。中にはスポーツをしているお子さん向けになど。

自分もプロアスリート時代に自身のパフォーマンスを高めるために筋トレや筋肉・骨の構造、コーディネーション、食事についてなど勉強して自分自身が実践していたので、そのあたりに共感してもらいうまく魅力を届けられたのかなと思います。

何事も誰かに物事を伝えるときは自分が経験したことがあるかないかはめちゃめちゃ大事だなと改めて思いました。相手の最初の姿勢がそれによって全然変わるので。何を言うかではなく、誰が言うかってことですね。なので、たくさん経験している人=たくさんアクション・挑戦してる人の言葉には信頼性がありますよね。そのアクションによって高い成果を出すことができたら、さらに信頼性が増します。

とまぁ自分の経験を活かして、インソールを届けられた訳ですが、今回お話したいのは「たくさんの競輪選手にご購入していただけました!」という報告ではありません。

今回綴りたいのは、今回の営業を通じて色々な競輪選手や関係者とお話しさせていただき、また試合前後の競輪選手に体験販売をさせていただき、競輪という競技がいかに危険と隣合わせの競技で、にも関わらずそこにかける選手たちの覚悟や準備です。

土俵は違えど、僕は競輪選手たちような覚悟で今の仕事に向きあえているかと常に忘れず自分に問うためにもここに残しておきたいと思ったので綴りました。

競輪初対面な私ではありますが、競輪という競技の裏側を少しでも知っていただけたら幸いです。

出会ったばかりの競輪を、私だからこそ感じたことや言葉で素直に綴っていきたいと思います。

競輪選手の準備(アップ)

今回、競輪場でインソールの体験販売をさせていただきましたが、前述した通り、競輪場に来たお客様ではなく、競輪選手に向けて販売をしました。

そのため、販売した場所も競輪場の中の選手の控え室の横あたりでした。

普通なら競輪関係者でなければ、絶対に入り得ることができない場所。

販売をしている横で選手たちがアップや試合への準備の様子をしているのです。

なんとも言えぬ雰囲気が漂っていました。

そもそも競輪はバンクと呼ばれる約2,000mのコースを4~6周(競輪場によって1周の長さが違う)して1着を争う競技。なので、時間にしてみれば3分もないぐらいで決着がつく競技。

昨年の競輪でNo1を決める試合(見たことない人は一度見てるみるといいかもしれません。)↓

しかし、そのたった3分で決着が決まるため、選手は当たり前ですが、めちゃくちゃ入念な準備を。

レース開始2~3時間前ぐらいから会場入り。
厳密に言えば、会場にはすでに入っています。

なぜなら↓
競輪は前検日1日+3日間連続で行われます。

前検日:開催日前日の指定された時間までに競輪場に入らないといけない。レースに必要な身体検査、車体検査などが行われる。

1日目:予選
2日目:準決勝
3日目:決勝


そして、競輪は公営ギャンブルなので、八百長を防ぐためにも選手は外部と連絡を取ることができないように競輪場の宿舎で4日間過ごします。一切外に出ることができません。携帯やPCなどの通信機器の持ち込みも当然禁止。

会場入りをしてから自転車の手入れや動作確認。
あとほとんどの競輪選手が以下の2つのアップをしていました。
この2つは競輪に限らず、「体を思い通りに動かす」という点でどの競技のどのアスリートにとっても効果的なトレーニングだと思うので、試してみるのはアリかもしれません。

棒で肩甲骨のストレッチ
▼動画(競輪選手の映像がなかったので野球選手のを)

▼効果
肩甲骨周りの硬化は股関節との連動性を妨げるため、可動域を広げる

▼棒(棒であれば正直なんでもいいと思いますが、一応↓)

(こちらは僕も選手時代にやっていましたが、上体に柔軟性が出るので、下半身もスムーズに動かせる感覚はすごいありました。)

一本下駄で体幹トレーニング
▼動画
https://www.youtube.com/watch?v=SWKEtD_5hf4

▼効果
バランスを取るために自然にお腹に力が入る。背筋が伸びる。自然と姿勢が良くなる。

▼一本下駄

(こちらはやったことがないので、試したいと思い、Amazonで買いました。届いたらやってみて報告したいと思います。)

体づくりが終わったら、自転車に乗ってローラー台で漕いだり、

実際に進んでる感覚を得たい選手は普通に控え室の前通路を走ったり。
(僕の前を何度も通過してました)

それが終わると指定練習で実際にバンク(コース)を走り。

やっと試合へ。

たった3分間のために入念な準備を黙々と一人で行っていました。

逆に今大会でお話させていただいた僕と同年代の太田竜馬選手はオンオフの切り替えをはっきりさせた方が自分のパフォーマンスを発揮できるという準備の仕方で、太田選手は1時間もないぐらいでアップを終わらせていました。

ですが、その太田選手が今開催の優勝を飾りました。

だからと言って、どっちがいいとか悪いとかはなく。
自分のパフォーマンスが発揮できる準備の仕方を常に把握し改善できているかが一番重要だと思います。

太田選手も話を聞いたら、日頃から整骨院に通って、骨のバランスを整えたり、食事に気を遣ったりということを日常からしていると言っていました。

準備にかける時間はタイミングは違えど、同じということです。
競輪選手のトレーニングや準備に対するストイックさやきつさはこの「ガチ星」という映画を観るとよくわかるかと思います。

「ガチ星」はU-NEXTにて観ることができます。

競輪選手の覚悟

それだけの準備をたった3分間のために行う理由は勝つためにというのが一番の理由ですが、「生きる」というのもあると僕は思いました。

実際に販売した日に、2名の選手が落車(他選手とぶつかったり、操作がきかず自転車から落ちること)し、救急車で運ばれていました。命に別状はありませんでした。

その映像です↓

http://wm.st.keirin.jp/wm-keirin28/20200304-28-02-08-01-00.mp4

僕は競輪という競技を知らなかったとは言え、甘く考えいました。

競輪の最高速度は時速70km。

時速70kmで走っている車からいきなり突き落とされるのと同じです。

ですが、そんなのは当たり前だそうで、「競輪選手は鎖骨骨折を乗り越えてこそ一人前」とまで言われるそうです。

そんな命をかけて戦う選手たちにインソールを履いてもらおうとしているのかと思ったら生半可な気持ちで商品を選手に届けてはいけない。そう思いました。

商品(インソール)自体は良いものだと自信を持って勧められる。

・特許技術を採用した理論
・高級な素材を惜しみなくインソール全面に使用
・職人さんが一つ一つ手作り

何より、使っていただいているほとんど人から、

「自然とお腹に力が入り、尻を使って歩けている感覚がすごいある」
「このインソールを履いてから足・腰が痛くなくなった」
「自然にパワーポジションが取れるので、ウエイトのパフォーマンスが全然違う」

という言葉をいただいているから。

極め付けは、

「教えてくれてありがとう!」

と言っていただけること。
買っていただいているのに。

だから僕たちは自信を持って、お客様・アスリートの皆様にこのインソールを届けられます。

なので、あとはどれだけ僕が選手にインソールの魅力を伝えられるか。

選手にただ履いてもらうだけでなく、インソールの特徴をしっかり理解していただき、実際に体験してみて、自分が良いものだと思って使ってもらわなければ、感じる効果も違ううから。

僕たちのインソール「TENTIAL INSOLE(テンシャル・インソール)」はアスリートの皆様には競技用ではなく、日常用やランニング・ウエイト用で履いてもらうように勧めています。

なぜなら、競技の場面も大事だが、それと同様に日常の場面の方も大事だから。競技に日常を大事にしなければ、練習をしていないのと同様。

そのため、今、「TENTIAL INSOLE(テンシャル・インソール)」は日常の歩きの負担を軽減させるためにも少し厚めに作られており、履いていただいているアスリートの方々には日常・ランニング・ウエイト時に履いてもらっています。

しかし、その厚みが競技時に気にならなければ競技の場面でも履いていただいています。

実際にこの日も何名かの選手が僕たちのインソールを履いてレースに挑んでくれました。

僕は身が引き締まる思いでレースを見たが、なんとご購入いただいた選手のうち3名もの選手が1着を取りました。

レース後、インソールを履いて1着を取った選手が僕のところにきて、
「ありがとうございます。」と。

僕は本当に嬉しかった。
届けられてよかった。
(その選手は日常用にもう1足買ってくれました。)

中には娘さんのために買っていただいている選手もいました。
命がけで戦っている中でも家族のために。
こんなにお父さんに愛される娘さんはどれほど幸せか。

このように競輪選手は常に危険と隣合わせの中で戦っています。

競輪素人な僕ではありますが、競輪を知らない方々が少しでも競輪で戦う選手の皆さんがどんな想いで戦っているかこの記事を通して知っていただけたら幸いです。

最後に

僕はサッカー選手を引退したばかりですが、まさか今の仕事でこんな貴重な経験ができるとは思ってもいませんでした。

だから、今回感じたことを忘れないようにするためにもこうやって書き留めています。

自分の仕事は競輪選手ほど危険な仕事ではありません。

ですが、たかがインソールかもしれませんが、そのインソールによってその人の人生に大きく関わることを今回強く知りました。

僕たちは自信を持って良いものを届けられていると思っています。

ですが、僕たちがお客様に与える価値はインソールだけではありません。

僕たちがインソールを届ける理由はインソールを通して、その人が歩みたい人生を歩んでもらえるようにするためで、インソールは手段でしかありません。

物を届けるだけなら、僕たちでなくてもいいのだと思います。

だけど、僕たちが届ける理由は別にあります。

つまり、インソールを届けてからが僕たちの本当の仕事の始まりだと今回改めて知りました。


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