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C104初参加記録。600冊の山が動く。大量発注冒険記。

山が動く。
そう、同人誌の山が。

ごあいさつ

 ミリタリーサークル『徒華新書あだばなしんしょ
 主催の久保智樹くぼともきです。
 @adabana_kubo

 コミケに初参加したので備忘録を残そうと。
 多くの人に助けられたので、これから同人活動を始める人に対する何か一助になればという思いもあります。

略歴

・大学四年間、大学のサークルで執筆活動をする。
・サラリーマンとして毎日12時間働き体を壊す。
・休職中に暇すぎて同人活動開始。
・あの数の同人誌をとりあえず作る。


同人誌の基本事項の機能分解

  • 個人で自由に作る本である。

  • 好きなことが書ける。

  • 好きな形とページ数で作れる。

  • 好きな部数で作れる。

  • 即売会という頒布機会がある。

個人で自由に作れる本 ー自由とは不自由ー

 同人誌は自由である。
 メロンブックスやBoothなどを調べると本当に多種多様なジャンルがある。今日の献立から天下国家のことまで揃っている。

 しかし、自由であることは人を悩ませる。
 エーリッヒ・フロムもそんなことを言ってた気がする。

 「さぁ自由に同人誌を作ってごらん。」
  
どうしろと・・・
 
 ということで、このnoteでは同人誌を作ること、そしてあわよくば多くの人に手に取ってもらえるようにどうするべきか。そんな話をしていきます。


注:本当にいい情報はこんな場末でなく、もう出版されています。
https://www.melonbooks.co.jp/detail/detail.php?product_id=1719094&srsltid=AfmBOooxJdyUdDWH0nM2jUl1yVK9bXFWtamBa-b81MFgWW7Ieg3jVsEK


 別に紹介に何の金銭的報酬もないです、僕には。
 ただ、自分が知見を得てお世話になったものを明かさないのは不誠実と思っただけです。

 で、この本との差別化点は何か。
 紹介した本は同人誌の「宣伝」についてです。
 この記事は同人誌の「作り方」についてです。
 本が無いと宣伝ができないので、まずモノを作る方法論です。

 さて、モノづくりがしたい方は是非続きを。
 モノがある人はPOO松本先生の本を手に取って。
 さてちゃっちゃと続きに行きます。

好きなことが書ける

好きなことを書くとは何か?

僕はミリタリーが大好きです。
なのでミリタリーの本を書きます。
○○が好き、だから書く。
その程度でいいです。

で、肝心なこと。
貴方の好きなことは誰かに手に取ってもらいたいかです。

「私は私のために書いているから他者評価は気にしない」という方は、次の章まで読み飛ばしてください。

しかし、せっかく書くならできれば人に手に取ってもらいたいという方は次を読んでください。

好きなことを人に届く形にするには?

 自分の本は幸いなことに結構な反響がいただけました。
 もう在庫がなくなりそうなくらいですから。

 ミリタリーなんてニッチなジャンルで、しかもあの数をです。
 元々、コミケに頻繁に通っていましたしジャンルの傾向はある程度把握していました。その中で思ったのは「今最前線で活躍している人には勝てない」ということです。

 考えても見てください。
 海外の資料をがっつりと当たって、それを何年も続けて、そして本にしている人に対して、僕はダラダラと大学を過ごし会社員としてインプットをせずに生きてきたわけです。
 まぁ勝てないですよね。

 ということで、ミリタリージャンルでまだ開拓者のいない分野かつ自分がやりたいことを検討しました。

 そして行き着いたのが、「案内」としての同人誌です。

 ある分野に精通して、特定のことが知りたくて同人誌を買いに来る人にむけてニッチさで勝負しても、もう先達がいる。だったらその人たちがついで買いしたくなるような本を作ろうと。

 具体的には、ミリタリーの「知っているようで語れない話」というテーマにしました。

 ソ連の大砲について、ドイツの艦艇について、日本軍の装備について。そんなマニアックなことを知りたいオタクのひとに対してメッセージを送ることにしました。

 確かに深い知識は楽しいし、僕も買うし、知れると最高に気分がいい。
 だけど、僕の本は「ドイツ軍とは何かの案内」なのでこれがあると更に楽しく他の同人誌が読めますよ。そんなメッセージです。

 で、思いのほかこの需要はあったようでご好評頂けました。

 さて一般化します。

好きなことがあるから書く。しかし大体自分よりも詳しい人たちがもういる。そのなかで自分の本を手に取ってもらうために、スキマ産業として自分の本の方向性を決める。

 これがとかく難しいですが、ここを乗り切るとグッと本の深みが増します。そして何より読んでもらえる機会が増えるのが最高に嬉しいです。
 僕は、自分の書いたものが多数の人に読まれて影響を与えたいというすごい自分本位な人間なので出来るだけ多くの人に手に取ってもらいたいのです。

好きな形とページ数で作れる

好きな形ってなんですか?

 書くことが決まったら、まず形から入りましょう。

 同人誌印刷と言えば名前の挙がる「サンライズ印刷」様。
 ここで頼もうとしてももういろんな形があります。

「同人誌の基礎」https://www.sunrisep.co.jp/genkou/create-genko-kiso/

 ですが定番はB5サイズです。
 ここではそれを基準に話を進めていきます。

好きなページ数って何?

 サイズが決まったらページ数。

 B4サイズの紙を用意して折り曲げるとB5サイズになります。
 ここに自由に絵なり文字を書く。
 するとB4の4ページの同人誌の出来上がりです。
 ふざけているわけではありません。
 好きな分量で書けるとは極言すればこうなります。

 ですが標準化しましょう。
 印刷は一枚の紙を4枚ないし8枚に折りたたんで作ります。
 そのため、基本は4の倍数が標準的です。

 B5 20ページ 表紙のみカラー
 というのが定番どころでしょう。

 私のサークルですか?
 新書 217ページ 表紙、巻頭4ページカラー
 と完全に独自オーダーです。

 サイズも選べる、ページ数も自由が利く。
 なので自分の好きなようにしましょう。
 留意すべきことは、サイズをB5から変形させたり、ページ数が増えることによって印刷費がかさみます。僕は理想の本を作りたかったので全てにおいて理想を追求しましたが、お財布と相談した。

 まぁ、目安となるか分からないですが20ページくらいが普通です。
 ここにこだわりがなければ、B5・20ページをやり切ることを目指しましょう。書いてるとあれもこれもとなるので結局増えると思いますが。

補論:徒華新書のサイズとページの考え方。

 僕は新書サイズで作りたいというこだわりがあったのでそこは最初から決めてました。ミリタリーの「案内」をする本なら新書のほうがメッセージが伝わると思ったからです。

 でページ数について。3本の論考を収録しましたがすべて50ページに統一しました。それは「新書」なのに微に入り細を穿つような議論をしたら「案内」にならないと思ったからです。あくまでもサクッと読めるページ数にしようと最初から決めてました。

 本の装丁は最初に目に入る部分です。ここに想いが表現できるなら妥協せずにやるべきだと思ってます。

好きな部数を作れる

 はい、同人誌づくりの永遠の課題。
 何部刷るか。
 この話同人誌書いた人が集まるととりあえず盛り上がる話題です。

 みなせ先生が興味深いことを書いていたのでご紹介。
 この方はメカミリで長く本を出されている大先生です。
 僕も何冊も買っています。

 同人誌は刷れば刷るほど安くなる。
 これは真です。

 ですが、ここで問題に行き当たります。

 仮に10部しか売れなかったら、200部頒布するのに20回即売会に参加しなきゃいけない。そして即売会の参加費も大体1回数千円かかる。それに交通費も乗っかる。そして回りが新刊を出す中同じ本で勝負するのはキツイ。

 こういう葛藤があるので、まず50部くらいから始めようという意見もあります。

 答えは正直ないです。
 ただ、堅実に歩みたい人は、まず50部を頒布する。
 その売れ行きの推移を見る。

 仮に50部を3時間で頒布出来たら、6時間あるコミケだから100部でも行けたとなります。
 反対に6時間で50部なら現状が適正となるわけです。
 なのでまず50部くらいから初めて、傾向とそして実績からくる固定ファンを増やして徐々に部数を挙げていくという道筋は多くの人が通ります。

僕、300刷ってどうにかしました。
だってその方がおもろいから。

即売会という頒布機会

とりあえず、俺よりも壁サーの書いた『同人誌は宣伝が9割』を読もう。
僕はその教えを忠実に守っただけなので。

やったことだけ列挙します。
・Twitterを全力で動かす。
・Webカタログを活用する。
・視覚イメージをがっつりと使う。

 このツイートとリプと引用に僕の夏が詰まってます。
 語るより見てくれって感じです。

で、実際どうなったの。

 山は動きました。
 とりあえず在庫が30を切りました。

 でその内実こそが、始める人にとっては知りたいことですよね。
 けど、同人誌のお金の生臭い話は正直したくない。
 まぁなので有料にしました。
 全世界公開は嫌だけど、やりたい人にも情報がないというのもなんだか据わりが悪かったので。

おわりに ーノリで初めて後から考えろー

 小難しくいろいろ書きましたが、後付けです。
 だってミリオタがやめられなくて、社会が辛くて、好きで好きで溜まらない同人誌とミリタリーをまだ続けてみたかっただけだから。
 
 ただ、何かを作りたいと思っている人にとって、「案内」が無いとなかなか最初の一歩が踏み出せないので、僕の辿った冒険記を最低限、理路整然と語りました。
 そして同人活動を始めたときの自分は何を考えていたのかを知る備忘録として残してるだけです。きっと最初の熱い思いを忘れる日が来るから。

 困ったらよくTwitterに漂流しているから、DMなり、リプなり、スペースに来るなりなんか一歩を踏み出してみてください。
 とりあえずモノ作りたいという人を僕は助けてもらったから、できる恩返しとして次につなげることしかないから力になりたいとは思ってます。

最後に
 同人誌通販してます。
 試し読みもあるので、同人誌ってどんなものか知りたければこれ見て。
 そしてあわよくば手に取ってくれると嬉しいです。


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徒華新書(ミリタリー実は知らない話)
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