『常識の1ミリ先を考える』こと
■始めに
広告のこと、マーケティングのことを学んでいくと、成功者は枠に囚われない考えを持っている事が伺えます。
マス広告が流行っていた時代、ある意味そこには数字は今より細かくなく
「認知された!されなかった!」の世界でした。
今では
「インプが…」
「クリックが…」
など数字で語れる様になった分、
データからちまちました話しかできなくなっていると感じています。
それを気づいている自分ですら、未だに広告有りきの戦略・戦術建てになっているので
ある意味刷り込まれてしまった考え方なのかもしれません。
本書は編集者という立場で数々のベストセラーを売り出してきた敏腕編集者が如何にして、ベストセラーの量産に至ったかが描かれています。
■書籍紹介
『常識の1ミリ先を考える』
■大切な事は他人が決める
編集者は拘りが強い職種です。
・この本を売りたい
・この企画ならベストセラーだ
・売っていきたい著者がいる
などなど
ですが、プロダクトアウトは売りにくいという広告の世界同様に
書籍も他人が評価をします。
著者は、本書でこの様に述べています。
給料も結婚も相手の評価や承諾があってこそ、決まる。
人生の大切な事は他人が決めている。
と言う様な意見です。
正にその通りで広告でも散々言われている事ですが、ニーズや市場の状況を踏まえない限りは書籍が売れる事はないのです。
これは書籍出版とどう関係するかというと、
著者も編集者時代は「売れる」という企画を元に書籍を出していたものの鳴かず飛ばずでした。
その時に陥るのが思考や視野の狭さ、売れない事への言い訳ではなく、要因を探る事が大切で他人の評価が絶対というマインドへ切り替えていったそうです。
長い付き合い、1から自分も考えた企画やクライアント程、色眼鏡がはいる事はやはりあるので成果が出ない時は言い訳をしない事を徹底したいと思いました。
■データは嘘をつかない
データを見る際には数値に注目しがちです。
実は出版も例外はなく、
一定のジャンルが年や月単位の頻度で
流行りそして廃れていくそうです。
自己啓発、心理、コミュニケーション、
勉強法、仕事、語学、リーダーシップ
お金、投資、経済、経営、健康、レシピ、掃除、ダイエット…
大別すると上記のジャンルがぐるぐる市場を回っているとの事でした。
よくマーケットでも「ブルーオーシャン」を狙えという話が出てきますが、
確かにライバルはいないものの、
そこには餌がない可能性があります。
レッドオーシャンであっても一定の需要(餌)があれば、そこへ飛び込む事に越した事はないのです。
では、レッドオーシャンで新規参入するには?
という話になりますが
そこで表題の「1ミリずらせ」理論が通じてきます。
この話は後ほどしますが、
著者は過去数年で売れた本などは出版社だから知れるデータベースなどを元に探っていった様です。
市場と書籍のジャンルは密接な事もあるので、
例えば広告主の業界ではどういった本が売れているのか?を探る事で新たな訴求軸や切り口の発掘に伝わるなと気づきを得ました。
実際に年に1回は出版年表たるものが出されるので、データのあり所としてマークします。
■1ミリずらす考え方
著者は『社長のベンツはなぜた4ドアなのか』という書籍で中小企業向けの会計に関する書籍でベストセラーを生み出しました。
端的に言うと、実は企画の大元には『さおだけ屋はなぜ潰れないのか』という身近な生活から会計のエッセンスが学べる本のヒットを参考に作られたそうです。
会計本⇒1ミリずらす⇒中小企業向けの会計本としてヒットが生まれました。
またズラ仕方はターゲットを変える以外にも、
複数あります。
例として、一時期書籍では
「○○代の人がやっておくべきこと〜」というニュアンスの書籍が溢れていました。
著者はそこの流行を見た際に、
「やっておくべきことも知りたいけど、やっちゃダメな事も知りたいよな」と
思い、
『30代でやるべきこと、やってはいけないこと』を刊行し、結果ベストセラーとなりました。
流行っている市場に対して、ひと工夫を加えるだけで急にポジションが変わるとは驚きでしたが書籍ならずとも他の業界でも言える事だなと思いました。
特にプロダクトローンチなどは、リスト取得して…という流れはテンプレートですが
その段階や後で何ができるのか?
テンプレートに当てはまらないズレすぎない思考が重要だと心得ました。
■本も見た目が9割
書籍の企画は著者や作者の何気ない一言から始まる事が多いようです。
著者もとある作家の語った、「怒らない事が大切」という言葉をマネジメントなどをテーマに書籍にできないかと企画を練ったのです。
元々タイトルは『怒らない技術』しかし、当時の著者は書籍内のキャッチーな一文、『雨が降っても喜ぼう』をチョイスし刊行しました。
結果惨敗という形になり、苦い経験をしたそうです。
暫くして、新書を出さないかという話になった際に大失敗した経験はあったものの、企画は面白いと踏んでいた著者は『雨が降っても喜ぼう』を『怒らない技術』として新書で発行、するとベストセラーになったとの事です。
ここで驚くべきは、原稿自体は変えていない点とタイトルのみを変えた事です。
そして、この結果の差…
正に広告の世界と一緒ではないかと思いました。
結果、書籍もタイトル、帯、表紙という要素でまず決まるという事が伺えます。
広告も見た目が9割…まではいかずとも、
文言やデザインなどの入口の部分の試行錯誤が弱ければなんでもLPのせいにしてしまうと危機感を覚えました。
■書籍の見た目はワーディングが肝
ワーディングという概念はあまり聞いた事がありませんでした。
ライティングとは似て非なるもので、
単語、単語での興味・関心づけを表しています。
例えば「かわいい」「カワイイ」「可愛い」という文字の使い分けだけでも大分印象が異なります。
このワーディングのセンスが書籍の生命線とも言えるタイトルに関わります。
加えて、人は数字に弱い生き物です。
大抵の人は数字を正しく理解できないと言われている様に、
「1ミリ」「○%」などの数字を見ると、印象がかなり違ってきます。
またギャップも大切で、
『クビでも年収1億円』という書籍が実際にあるのですが、
クビなのに1億円…??とツッコマレビリティもありつつ、ギャップもあります。
書籍も玉石混交で、書店には多数のあらゆるジャンルの本が並んでいるが
人々は無意識下でコンマ数秒で「面白いか否か」を判断する様です。
そのコンマ数秒の世界観を意識した広告文などを意識、作成する事でまた広告効果も異なってくるのではないかと思いました。
■シュガーマンの原則
以前にも読んだ書籍、シュガーマンの書籍では
この様な記載があります。
「人は8割を感覚で捉え、2割で納得する」
その一文は現代の書籍にも現れており、
タイトルで興味付けした後は、帯で納得をさせる仕組みを作っているとの事です。
確かに、タイトルは「〜するな!」
え?!なぜ
帯で芸能人や著名人も推している事がわかると購入に行き着きやすくなります。
いわゆる、仕掛けです。
見た目の部分でそれぞれ、どういった役割を取っているかです。
広告でも見出しやクリエイティブ、説明文など事細かに役割はあります。
普段、ここまで細かく考えられていたか?
ここの要素は書籍タイトルや帯の仕組みから読み解き、Webという場で活かして行きたいと思います。
■まとめ
The・オフラインの書籍ですが、逆に言えば店舗で売る為の施策が練られているなと思いました。
よくよく考えれば、本のタイトルなどは売れるワードの宝庫です。
自分が関わっている業界やクライアントの業界の書籍からヒントを得て、Web展開していくのは効率的なのかもしれないと感じました。
また本書の要であった「1ミリずらす」理論も、既存の市場からターゲット以外で何をずらすか重要という視点も貰えました。
サービス提供の仕方なのか、商品名なのか…などはわかりませんが、また幅が広がったと学びになりました。
■具体的TO DO
・英語教材の案件、書籍に近い広告やクリエイティブをテストしてみる