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アンケートから見えて来るもの
櫻井 光政
弁護士
士業適正広告推進協議会 代表理事
士推協では昨年に続き、一般に向けて、士業広告についてのアンケート調査を行いました。調査会社に依頼して数千人を無作為抽出した上で行う聞き取りアンケートは信頼性の高いものです。
その詳細については別の報告に譲ることとして、今回はいくつかの特徴的な項目から見えてきたものについてお話ししたいと思います。
前回の調査との比較で顕著な違いが現れた項目があります。士業広告にポジティブな印象を持たれた方の中で以前比重の高かった「法的サービスを身近に感じた(前回31.7%)」、「弁護士・司法書士に相談できることを広告を見て知った(同27.7%)」がそれぞれ17.3%、17.0%へと大幅に減少していました。
他方「自分の状況を改善できるのではないかと感じた(前回4.7%)」「広告を通じて新しい知識を手に入れることができた(同4.0%)」は7.7%、5.7%と割合を増加させています。
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上位2項目の比率の減少は、士業広告が「法律サービスを身近に感じさせ」「相談できることを伝える」役割を果たし終えつつある、つまり、この2点は利用者に十分に浸透しつつあることを意味すると考えられます。
他方で、「自分の状況を改善できる」「新しい知識を手に入れた」という回答者は、「自分の状況を改善したい」「知識を手に入れたい」人たち、即ち広告が本来ターゲットにしている人たちだと考えられます。その要求に広告がよく答えている結果がこの項目の回答者の増加ととらえられます。
総じて、適切な広告が所期の目的を達している、利用者にとっても士業にとっても、広告業界にとっても良い状況にあると評価できる結果だと言えるでしょう。
ネガティブな印象についてはどうでしょうか。「法律サービスなので自分には関係ないと思った(前回43.0%)」「実際は広告ほどうまく行くことは稀で不正確だと思った(同26.3%)」はそれぞれ20.3%、21.0%に減少していますが、他方で「胡散臭いと感じた(前回22.7%)」、「同じ広告が何度も表示され嫌悪感を感じた(同13.3%)」の2項目はそれぞれ29.0%、18.0%と増加しています。
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前者2項目の減少は、広告を見た人が法律サービスが自身に関係するサービスであることを知り、かつ広告への信頼が高まっていることを意味すると考えられます。半面後者2項目の増加は、一部に、見た人に警戒心や嫌悪感を与えるものが存在すること、広告の手法として改善すべき点が残されていることを示唆するものと思われます。
私たちが行っているアンケートは、その時々の広告がどのように見られているかを知るのに役立つものであることはもとより、定点観測的に継続して実施することにより、広告の変化とその受け手及びその意識の変化を知る上で貴重な資料になると自負しています。
私たち士推協はこれからも様々な視点から適切な士業広告の在り方を研究して行きたいと考えています。