コミュニティFMの閉局。そして・・・
令和5年3月31日
とあるコミュニティFMが閉局した。
兵庫県尼崎市にあった「FMあまがさき」
愛称はFMaiai amagasaki informationの略らしい。
そして面白いのはコールサインにもAIが入っている。
JOZZ7AI-FM
以下の内容は自分が資料を読んだり、自分が見聞きしたもの、
また、体験談や思ったことなどを書いていくので、
「ここは違う!」や「その認識はおかしい」「資料が古い」などがあれば
ご指摘ください。
基本的には、長々なんか書いてるなーぐらいで思っていただけたらと思います。
なぜ、閉局?
閉局の原因は、
事業継続が困難になるほどの経営状態の悪化
閉局に関しては、
地元のサンテレビだけではなく、
NHKでも取り上げられている。
閉局の理由について、尼崎市は
市が公式に経営状態が芳しくないと認めた上で、
経営存続するための試算を行ったことも発表。
やはり、それでも赤字は続くという結論、結果に基づき、廃業という形で、廃局したという。
コミュニティFMについて思うこと
コミュニティFMの難点は、
普通のラジオアプリでは聴けないこと。
いや、聴けるのだがそもそも聞こうという人が少ない、ラジオ好きならという人でも、コミュニティFMを聞いている人が少ないのでは?
ということで、聴衆率は低いという印象を抱いている。
普通の一般のラジオのようなノリの番組ではなく、
地域密着型だから聴かれず、どうしても聴き方が分からないなどがあると思っている実際自分も聞いた事ない。
地域密着型と言っても、地域住民誰しもが住んでいる場所にめちゃくちゃ興味があるかと言えば微妙なところだろう。
交通面で良いから、大型ショッピングモールがあるから、など利便性を重視する人が多いのではという想像がある。
また、民放のラジオと違い、
広域で電波を拾うことが出来ず、そのエリアを出てしまうと聴けなくなってしまう。その点リスナーがつきにくいのでは?と思ってしまう。
コミュニティFMの課題は?
何が課題になっているのか総務省が2016年10月に開かれた
第1回地域における情報流通の確保等に関する分科会に提出された
資料には、6つの課題が記載されている。
課題① 安定した収入の確保と拡大
これは、コミュニティFMだけでなく、
民放のテレビ局やラジオ局でも言えるのではと思うが、
民放は大手企業がスポンサーにつくことが多く、
場合によっては、公益財団法人や、一般社団法人、宗教法人なども
スポンサーになることがある
※民間放送局によっては宗教法人からのスポンサーを禁止
しているところもある
課題② 放送設備の整備
NHKや民放と比べると満足のいく機器を揃えるのにも資金が必要となる
なんせ、設備だけで数千万〜数億円を要する。
それに付け加え、放送となれば電波を使うわけで、親局と中継局が必要になる。
設備というのは永久的に使えるものではなく、
故障や不具合が発生する。
となれば、交換、メンテナンスが必須になる。
同じ機材があればいいが、
そういうわけにもいかず最新機材に乗り換えることも発生する。
とにかくお金がかかる。
課題③ 放送スタッフの確保と育成
ラジオといえば、DJやパーソナリティーアナウンサーなど
とにかく喋り手が必要。
しかし、喋り手だけでなく、ディレクターやミキサー、放送に従事するので
無線免許保持者も必要。
放送する分にはこれでいいかもしれないが、
放送以外のスタッフも必要になる。
広報、営業、経理、編成もいる。
ただ、これだけではないが、テレビ、ラジオをはじめとする放送メディアでは、ベテランが多く在籍する一方で、若手スタッフが減ってきている。
私も、一、地方局のテレビ番組スタッフではあるが
後輩などと話すと必ず出てくるのは、「もっと華やかな世界と思った」や
「毎日芸能人やアイドル、芸人と会えると思った」など今でも聞くことがある。
一番多いのは、「あれだけ働いたのに、給料が少ない」と言われること。
話は逸れたが、会社員として働く場合、色々な保険があるがそれにも
お金がかかる。
若い人のテレビ離れ、ラジオをそもそも聞かないなど
若者の情報源はSNSやネット。
ましてや、新型コロナのような感染症が蔓延すればテレワークを
余儀なくされる。
たとえそうなったとしても、可能なのは現場ではない部署が可能なだけで
喋り手、ディレクター、ミキサーの最低3人、無線従事者などのエンジニアもリモートではできない作業である。
課題④ 無線従事者の確保と資格の取得
無線技術者といっても普通の人にはピンとこない。
テレビ局でいえば、
マスター(主調整室)、中継車の技術などで作業している人が
持っていることが多い国家資格。
自分が専門学校で聞いたのは陸上特殊無線技師1級があれば、
放送局のマスターや中継車技術職などに就くことができるとのこと
ただ、コミュニティFMなので必要な資格は
「第1級 総合無線通信士」
「第1級 陸上無線技術士」
「第2級 陸上無線技術士」 が必要とのこと。
ちなみ直近の合格率は
引くほど難しい…という印象。
国家資格なので難しいのは当然。
課題⑤ 災害放送システムの導入
今年、2024年の1月1日に石川県で発生した震度7の烈震
その時、民放とNHKのテレビは、報道特別番組に切り替えました。
ではラジオというと
NHKはラジオでもテレビでも災害報道を行いました。
しかし、民放のラジオ局を聞いてみると
キー局のニッポン放送は
録音番組の放送をカットイン(番組を切って、生で放送を伝えること)にシフトチェンジ。
ニッポン放送での震度を伝えつつ、石川の地震について放送し、報道特別番組へ切り替えました。
では、地震が発生した北陸のラジオ局
少し聞いてみました。
MROラジオ、エフエム石川は番組継続しつつカットイン
隣の富山のKNBは生で呼びかけをしていました。
このように、
「迅速」=速報性
「適切」=正確性
が求める、災害放送を実施するためには、
当該放送局を設置している自治体と協定・締結
自治体による緊急割込放送
国によるJアラート放送等のシステムを導入することが重要になるが・・・
これらシステム導入費用について
調べてみると受信機については、100万円ほどかかるとの情報も
コミュニティ放送でいるか?
というのもあるかもしれないが
自治体と連携するにはやはり市民に危機が及ぶならば、
NHKや民放が伝えられない部分を担うことができるはず。
課題⑥ 緊急告知放送を受信するラジオの整備
放送事業者=送信側だけでなく
リスナー・聴衆者=受信側の設備も必要とのこと
確かに、放送事業者が設備を整えても、
聞いてくれる人がいなければ=受信者がいなければとなります。
例えば、NHKが毎月1日の午前11時59分から放送している
試験信号放送(緊急警報放送)を見たことがあると思うが、
自動的にラジオが起動する『緊急警報信号』受信機能付きラジオ
などは、そこそこ金額がかかる上に、普及率もかなり低いのが現状。
上記はあくまでもNHKと民放のラジオに限られており、
周波数も違うコミュニティ放送は前述の通り普通のラジオでは
聞くことができない。というより聞ける機会も限られている。
JCBAの要望
JCBAは要望を最後に記している
民放ラジオ局で閉局した場所も・・・
2020年6月30日 愛知・名古屋市「Radio NEO」
2020年7月30日 新潟・新潟市 「FM PORT」(新潟県民エフエム)
同年に立て続けて閉局・停波した民放FM局。
閉局に関しては、決してコミュニティラジオだけではない。
コロナ禍に突入した2020年。
ちなみに、帝国データバンクによると2020年の倒産件数は7314件だった。
「FM PORT」を運営する新潟県民エフエム放送(株)は
新潟地裁より破産手続開決定を受け、同月14日破産手続きを開始。
6月に閉局した「Radio NEO」
どちらも理由は経営不振だった
ニッポン放送の取り組み
2020年10月28日
ニッポン放送(東京千代田区有楽町)は災害時における
神奈川県での更なる広報強化のため
神奈川県と神奈川エフエムネットワークと
「災害時における相互協力に関する協定」を締結しました。
ニッポン放送と神奈川エフエムネットワークは、
災害時に神奈川県から情報提供を受け、情報の相互提供、
広報に係る連携を行う予定
ニッポン放送代表取締役社長 檜原麻希氏は
「ラジオの使命は日々リスナーの1人1人の生活や喜び、
悲しみに寄り添うことが大きなミッション。
特に災害時はラジオが寄り添いを強化し、
安心・安全報道をしていくことが非常に重要と考えている。
今回の協定締結で、それぞれが持っている情報をお互いが補完しあって、
さまざまな連携ができると思います。
最近は地震に限らず台風や豪雨など、
さまざまな災害が日々起きている中で、
ぜひこのラジオのパワーを活かして今後もいろいろな連携を
していきたいと思います」
と挨拶。
神奈川FMネットワークは
FMやまと/FM湘南ナパサ/FM BLUE SHONAN/湘南ビーチFM/
かわさきFM/Ciao!/鎌倉エフエム/レディオ湘南 /エフエム戸塚/
FM HOT 839/FM Salus/FMカオン/FMヨコハマ/
湘南マジックウェイブ/マリンFM/FMおだわら/神奈川新聞社
FMあまがさきのその後
今年3月に惜しまれながら閉局した【FMあまがさき】はいま・・・
地元企業と、FMあまがさきで放送をしていたパーソナリティ、
それにリスナーなど有志が集まり、その事業を引き継いだそうです。
また、ネッツトヨタ神戸(本社・尼崎市)が賛同のもと
クラウドファンディングを実施。約1700万円が集まったそうです。
新たに法人を立ち上げてクラウドファンディングでおよそ1700万円の資金を集め、ことし8月に放送免許を継承することが決定。
総務省近畿総合通信局放送部放送課2023年8月9日付の報道資料に
なんと!!
再開局することができたそうです。
しかも、
呼出符号、周波数、出力数も同じまま
再開局は各メディアでも
地元のサンテレビ、NHK神戸放送局、朝日新聞など
まさに熱量が動かした出来事
最後に・・・
ラジオといえば、やはり民放のラジオが浮かぶ一方で、
地域に特化したラジオ=コミュニティラジオは忘れてはならない存在。
しかし、前述の通り聞く術が少ないこと、この記事を書いているが
ほとんど、いや、全くと言っていいほどコミュニティラジオを聞いてこなかったし、率先して聞こうとも思わなかった。
この記事を書くきっかけは、ラジオの仕事をしてみたいなと思い、
転職活動の一環としてそういえばコミュニティラジオってあったなと思い
色々調べてみると、閉局したラジオの存在に気づいた。
コミュニティラジオ自体存在はしっていたものの、
いざ調べてみると知らないことばかりである。
いざ、調べてみると、(自分が知らないだけではあるが)
NHK・民放とコミュニティラジオ相互関係をもっと深めてもいいのではないか?(ニッポン放送やラジオ関西のように)
新年早々の津波を伴う大地震。
電気がなくちゃ見られないテレビなんかよりもラジオの重要性は
災害が起こるたびに気付かされる。
コミュニティという限られた場所ではあるが、
日本各地数多にあるラジオ局。
民放のように競争するのではなくて、協力しあっていく
災害が起きれば、NHKや民放が率先してコミュニティラジオと中継すれば
細かい情報も手に入れられる。
また小さいが故に範囲が限られているコミュニティラジオの声を
NHKや民放のラジオ局が伝える。
このシステムがもっと簡単にできたら(自分が知らないだけ)いいのに
と思う。
話は一旦外れて、
ここからは日頃思っていることとして
現場【テレビもラジオも番組を作る人たち】より、現場を知らない人が決定権を持っていることが多いなと感じる。
また、最新機材にばかり目が行き、従来の機材の使い方を練習しない人もいる。
上に立っている人はもう少し現場の声を聞いてほしいし、
要望を出す側も日頃の研鑽も怠らないでほしい
10年近くメディアの世界にいると、
いろんな人を見るが、「熱意を持っている人」と感じる人が
年々減っているなと感じる。
まあ、そんな自分も何がやりたいのかわからなくなってきている。
話を戻すと、
今回は、【FMあまがさき】をもう一度復活させたいという思い。
直接見てないにもかかわらず、
すごいなと感じた気持ちは忘れないと思う。