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最新バージョンにアップデートはしたほうがいいわ

私の妻は風水師だ。

最初に断っておくと、ロールプレイングゲームに出てくるような「ジョブ」とは違うし、「今年の方角は南南東!」とかそういうのではない。

では、風水師とはいったいナニモノなのか?
私の理解によると、風水とは、運を創ることができるツールであり、そのツールを使いこなすプロフェッショナルが風水師だということ。間違ったことを言ってしまうとマズイとは思うのだが、私の理解が追いつきしだい、正しく訂正してゆきたいと思うのでお許し願いたい。

さて。

風水が、運を創ることができるツールであるならば、私も運を創りたい。そうおもい妻に運を創るにはどうしたらいいのか聞いてみているのだが・・・。

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私「意識できないところを意図的に操作しちゃうってどゆこと?」
妻「視覚から入る情報を、望んだ情報に整えてやるのよ」

私「イマイチわからないんだけど・・・」


妻「望んだ情報を発する物を置いて、望まない情報を発するものは置かないようにするのよ」
私「望んだ情報を発するものってなに??」
妻「何を望んでいるかによるね」
私「じゃぁ金運だと?」
妻「金運ね。たとえば仕事に集中できるようになれば、結果的にお金が入るわよね?」
私「別に注意散漫ではないので、集中できればいいってものではないかなぁ・・・。」

妻「それなら、新しい発想やアイディアが浮かんでくるようになればいいかしら?」私「そうだね。アイディアが次々浮かんでくるようになるとチャンスは増えるね」
妻「ふむふむ。では具体的な話しをするけど。視覚からの情報を変えるのに最も手っ取り早いのは、領域の大きなモノを目的にあわせたものにすることよ」
私「はぁ」

妻「1つずつ分解して話しをするわね。領域の大きなものというのは、視覚に入ってくる情報の占める割合が多いという意味ね。具体例を示すと、壁とかカーテンとかね。次に、目的に合わせたものにするんだけど。」

私「目的ってのは、今の話の流れだと金運アップってこと?」

妻「そうね。金運アップ。そして、金運アップのためには、アイディアが次々浮かんでくるようになれば可能性が高まる、って話よね。」

私「そだね」

妻「で、視覚から入る情報のうち、領域の大きなモノ、すなわち壁やカーテンを、目的にあわせたものにすればよい、と。」

そこで妻は、一呼吸おいた。

妻「実際にどうすればいいか、なんだけど。たとえば、発想力が高まる色ってのがあるのよ。」
私「あ。なんか風水っぽい話になってきた。西に黄色とかってことだよね??」

と、言った瞬間、彼女は、激しい嫌悪の視線を私に向けてきた。
いや・・・なんで、そんな目で見られなければならないのか・・・。

妻「違うわよ。っていうかね、それ、まーーーーったく風水じゃないからね。そもそも『西に何かを置く』とか言ってる時点で風水じゃない。それって、どちらかっていうと家相だと思うよ。黄色が金運の色って言うのも、一番考えられる可能性としては陰陽五行の話じゃないかって思うわ。」

一気にまくし立てるように話している彼女は、一見して怒っている。
その怒りに負けそうになりながらも、私は疑問を投げかける。

私「インヨウゴギョウってなに?」
妻「陰陽五行ってのは、曲解を恐れずにカンタンに言ってしまうと

自然界にあるものを木、火、土、金、水の5つにグループ分けした

という感じね。黄色ってのは『土』グループの色なんだけど、『土』は『金』グループを『生み出す』ので、黄色いものをおきなさいって話ね。まぁ、風水の流派によっては陰陽五行を用いるものもあるけど、私はあんまり使わないわ」

間髪を容れず応えが返ってきた。おそらくすでに予想済みの質問だったのだろう。
そして、この回答に対する私の回答も、間髪を容れる隙間などない。

私「え、なんで?」
妻「科学的な根拠がしっかりしているわけではないから使いにくい」



私「・・・。いや風水なんてそんなもんでしょ?」
妻「世の中にある一般の風水はそうね。でも、私が使ってる風水はちがうわ」
私「はぁ・・・」

妻「そもそもね。これだけ技術が進化した現代社会に置いては、すでに科学的根拠が伴うモノがたくさんあるわけじゃん。脳科学だったり色彩心理学だったり行動経済学だったり、そういうものね。だったら、最初からそういう科学的根拠が伴うものを積極的に取り入れて行ったほうがいいでしょ?」

私「うーーーん。それって風水なのかなぁ・・・」

妻「あーーー。風水の定義の話ね」

そう言って、妻はしばらくしせんをあちらこちらへと巡らせていた。

妻「風水は、時代が変わろうと国が変わろうと働く原理原則よ。でもね。そこで使う技術は、時代や国、文化の違いや、技術の発展によって適切にアップデートしていったほうが、より良い結果が得られるようになるわ。」

私「アップデート?」

妻「そう。最新バージョンにアップデートしたほうがいいわ」


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